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オダギリジョー 独特の“掴みどころのなさ”が妙に役にハマるワケ

本作では脚本・演出・出演・編集までこなした(ABACA PRESS/時事通信フォト)

役ごとに独特の存在感を発揮(ABACA PRESS/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』に出演中のオダギリジョーについて。

 * * *
 オダギリジョーは不思議な魅力を持っている俳優だと、NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』を見ながら思う。深津絵里さん演じる2代目ヒロイン、大月るいの夫で、不器用ながら穏やかで優しい大月錠一郎(通称ジョー)は、戦災孤児で元ジャズトランペッター。突然、吹けなくなって自暴自棄になり挫折するも、るいと結ばれ京都で回転焼き屋を開業。だがその店もるい任せで、たまに店番をしてもすぐに客が帰ってしまうという商売っ気のなさ。そんな人間味溢れるジョーは、もはやオダギリさん以外に想像できないだろう。

 朝ドラ初出演のオダギリさんは、出演が決まった時の取材で、この仕事を引き受けるかどうか悩んだことを明かしている。「僕は夜中の作品のほうがしっくりくるタイプだし、今までもインディーズや小さな作品に重きを置いて活動してきたので、朝ドラは自分らしくないかなとだいぶ悩みました」と語っているのだ。

 オダギリさんに関する記事をネットで検索すると、出てくるのは“謎の男”“つかみどころがない”“尖っている”“異質”というような言葉。夜中の作品のほうがしっくりくるタイプという自己分析も、こんな風に評されてきたことと重なっているのかもしれない。

 演技力は折り紙つきで、役作りには定評がある。感情表現に含みを持たせるような演技も多く、余韻を感じさせる役者さんだ。だが、これだけ印象的なのに、どんな俳優かと聞かれると「個性的」という言葉の他にその個性をうまく表現できない。どんな役がハマり役なのか、はっきりとイメージできないのだ。確かに掴みどころがなく、謎の男という印象である。

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