国際情報

プーチンの狡猾な交渉手口 北方領土「引き分け」発言でも日本を翻弄

北方領土をめぐる交渉は目に見える進展がなかった(写真/EPA=時事)

北方領土をめぐる交渉は目に見える進展がない(写真/EPA=時事)

 ウクライナへの攻撃を続けるロシアのプーチン大統領。国際社会はロシアの武力行使を止められずに民間人の犠牲者も増え、ウクライナ国内の原子力発電所への攻撃・占領といった危機的な事態にも発展している。ロシア国内では戦争の真実を伝えないための情報統制も進んでいる。そうした事態を招いているロシアのプーチン大統領だが、その人物像が日本で正確に伝わっているとは言い難い。

 これまで、プーチン大統領をめぐっては、柔道や秋田犬を愛する“親日家”としての側面がフォーカスされがちだった。しかし、それは日本向けの都合のいいパフォーマンスだったとも考えられる。

 日本とロシアの間に横たわる最大の懸案が、北方領土問題だ。択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島は日本固有の領土だが、1945年8月9日、当時のソ連は日ソ中立条約を無視して対日参戦し、北方領土を不法占拠した。この北方四島の問題はソ連崩壊後も、日露間での懸案であり続けてきた。

 プーチン大統領はこの北方領土問題に関して、一部メディアとの会見のなかで「引き分け」という日本語を使ったことがある。自民党関係者が言う。

「大統領をいったん退任して首相となり、再び大統領となる直前の2012年3月、プーチン氏は会見の場で、領土問題について『何らかの勝利を目指すものではない。いわゆる(柔道の)引き分けみたいなものですね』と発言して話題となりました。柔道家として知られるプーチン氏がわざわざ『引き分け』と日本語で話したのです。その真意がどこにあるのか、専門家や外務省関係者の間でも注目の的となった。

『引き分け』というくらいだから、北方領土のうち2島が引き渡される方向性や、4島の面積を二等分して国後、色丹、歯舞諸島と択捉島の一部までが引き渡される“面積二等分”という方向性が、現実味のあるシナリオとして囁かれたこともありました。しかし、結果として今に至るまで北方領土をめぐる交渉は目に見える進展がなかった」

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン