芸能

【角川三人娘】相米慎二、大林宣彦…名監督との出会いで女優として成長

薬師丸は2006年、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した(写真/女性セブン写真部)

薬師丸は2006年、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した(写真/女性セブン写真部)

 1980年代、日本映画界に彗星のごとく現れた薬師丸ひろ子(57才)、原田知世(54才)、渡辺典子(56才)。いまも第一線で活躍し続ける彼女たちの原点は、10代でヒロインを務めた『角川映画』にある。“角川三人娘”と呼ばれた彼女たちの才能を見出した編集者・映画監督・映画プロデューサーの角川春樹さんと映画宣伝プロデューサーの遠藤茂行さんが当時を振り返る──。【全4回の第3回】

名監督との出会いで女優として成長

〈角川三人娘を語る上で外せないのは彼女たちの映画でメガホンをとった数々の名監督の存在だ。『セーラー服と機関銃』の相米慎二監督、『時をかける少女』の大林宣彦監督(享年82)、『晴れ、ときどき殺人』の井筒和幸監督(69才)のほか、厳しい監督たちに鍛えられてきた〉

角川:彼女たちをヒロインに起用する際に、監督と衝突することもありました。

 覚えているのは、『野性の証明』の薬師丸。あの作品の原作は森村誠一さんの小説ですが、彼女が演じた長井頼子は8才でした。でも当時の薬師丸は13才。「原作のイメージと違う」と、メガホンをとった佐藤純彌監督(享年86)は薬師丸の起用に反対したんです。

 そのとき私は、監督を交代させてでも薬師丸でいきたかった。だから当時の角川映画のスタッフに、「お前ら、何が何でも、薬師丸でいくことに賛成しろ」と賛同を得て、最後にはプロデューサーの権限で、「映画の頼子の年齢は、薬師丸の年齢に合わせて13才にする!」と押し切りました。もちろん、監督を交代させるまでには至りませんでした。

 それからいざ撮影が始まって現場に行くと、佐藤監督から、「角川さんに謝らないといけないことがある」と言われました。何事かと思ったら、「角川さん、ひろ子、彼女は天才です!」って(笑い)。

 1980年代の角川映画は相米慎二、根岸吉太郎(71才)、池田敏春(享年59)、井筒和幸、崔洋一(72才)ら当時の新鋭に映画を任せていました。

 典子主演の『晴れ、ときどき殺人』は井筒監督が撮りましたが、芝居のつけかたがうまかったので、志穂美悦子(66才)主演の『二代目はクリスチャン』(1985年)も井筒監督にお願いしました。

 典子は最初から演技が上手でしたね。彼女の作品で思い出すのは、映画『積木くずし』(1983年)です。角川映画ではありませんが、ふだんはピュアな彼女が不良少女を鮮烈に演じた。だから、『積木くずし』の印象が強いんです。

 知世といえば、スクリーンデビューとなった『時をかける少女』の大林監督ですね。

『時をかける少女』(1983年)は角川書店で文庫化していて、これからの映画はSFだと。直感で、『時をかける少女』の主演は知世、尾道で撮るとひらめきました。幻想的な古い街並みを背景にすると知世の透明感がいっそう引き立つんです。大林さんも撮影時に、「知世はひとり、光り輝いていた」とおっしゃっていました。カメラレンズを通して見ると、キラキラと輝いて見えるんですよ。私は映画『愛情物語』(1984年)を監督しましたが、あの作品はとにかく知世をきれいに撮ることだけに集中しました。この作品は金沢でロケをしましたが、旅館から相手役の渡瀬恒彦(享年72)を見下ろすシーンがなんとも美しくて。あんなにきれいだったと思ったことはありませんね。

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)
【江夏豊インタビュー】若い才能のある選手のメジャー移籍は「大いに結構」「頑張ってこいよと後押ししたい」 もし大谷翔平と対戦するなら“こう抑える”
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン
11月下旬に札幌ススキノにあるガールズバーで火災が発生(右はInstagramより)
【ススキノ・ガルバ爆発】「男は復縁の望みをまだ持っていた」火をつけた男は交際相手A子さんを巻き込んで死のうと…2匹の犬を失って凶行に
NEWSポストセブン
再婚
女子ゴルフ・古閑美保「42才でのおめでた再婚」していた お相手は“元夫の親友”、所属事務所も入籍と出産を認める
NEWSポストセブン
54歳という若さで天国に旅立った中山美穂さん
【入浴中に不慮の事故】「体の一部がもぎ取られる」「誰より会いたい」急逝・中山美穂さん(享年54)がSNSに心境を吐露していた“世界中の誰より愛した人”への想い
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《真美子さんのバースデー》大谷翔平の “気を遣わせないプレゼント” 新妻の「実用的なものがいい」リクエストに…昨年は“1000億円超のサプライズ”
NEWSポストセブン