ひなた編(ヒロインは川栄李奈)に深津絵里が出演している朝ドラ
「名刺を許可した事実はありません」
A氏はやましいことはないと強調するが、独自でアーティストの身辺調査を行うA氏の判断で、推される者もいれば、切られる者もいる、というのが実態のようだ。かつて民放でもドラマと主題歌、挿入歌のタイアップがカネで売られる時代があった。
「2000万~3000万円で主題歌の枠をテレビ局から購入してプロモーションするのが当たり前だった時代がありました。しかし、総務省が2009年に『放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン』を作成し、発注者が受注者に対して優越的な地位にある場合は、独占禁止法に該当する恐れがあると指摘したのです」(テレビ局関係者)
その後、民放のタイアップ案件はかなり改善されたが、A氏がいまも“謝礼”としてレコード会社から金銭を受け取っているなら、NHKにあらぬ疑惑が生まれかねない。
たとえNHK自身が受け取っていなくても、「NHK公認ドラマ音楽プロデューサー」の名刺を持つ人物にレコード会社が「成功報酬」として金銭を支払っていれば、朝ドラの主題歌がカネで買われたと言われても仕方あるまい。少なくとも、レコード会社には「カネが用意できないと朝ドラ主題歌は買えない」という認識は強いのだ。
公共放送で毎朝流れて、国民が耳にする主題歌の選定の裏で、多額のカネが動いた責任は、外部コーディネーターに“実権”を持たせたNHKの杜撰さ、危機管理能力のなさにあるのではないか。すでにこの問題はNHK中枢の知るところとなり、局内に激震が走っているという。A氏と近い木田氏を直撃すると、困惑気味にこう答えた。
「A氏はただの仕事仲間で、NHKから何かをお願いしたり、名刺を持つことを許可した事実はない。(レコード会社との金銭の授受は)NHKはいっさい関知していなかった」
ユニバーサルは「NHKとのドラマのタイアップ等については、いずれも契約に基づいて法令の範囲内で適切に行っております。内容の詳細については守秘義務の観点から、回答は差し控えさせていただきます」(広報部)という。
NHKにA氏が主題歌選考にかかわった事実関係や、レコード会社から報酬が支払われていた経緯を尋ねると、次のように回答した。
「ドラマ主題歌のアーティストについては、多くの方々から推薦を受けることはありますが、NHKが決定しています。A氏に『NHK公認ドラマ音楽プロデューサー』の肩書や名刺を許可した事実はありません。その他のご指摘のようなことについては承知しておりません」