合唱曲に取り入れられ、卒業式で歌われる
1980年代に入ると、いまも卒業式で歌い継がれる、卒業ソングの名曲が続々生まれた。
柏原芳恵『春なのに』や斉藤由貴『卒業』には、第2ボタンにまつわる歌詞があり、松田聖子『制服』は松本隆が詞を書き下ろした。
「尾崎豊の『卒業』は、校内暴力を彷彿させる描写とともに、真摯な自分探しの歌詞が若者を心酔させました」
1990年代になると、ドラマ『白線流し』の主題歌となったスピッツの『空も飛べるはず』や、Kiroroの『未来へ』などが登場する。平成の卒業ソングの定番となった『旅立ちの日に…』を歌った川嶋あいはこう振り返る。
「この『未来へ』は15才で上京した際の思い出の曲。ずっと歌手になることを応援し、女手一つで育ててくれた母に背中を押され、東京に向かう電車の中、ヘッドホンで聴いていました。夢への最初の一歩を、一緒に踏み出せた特別な曲です」
2000年代には、森山直太朗の『さくら(独唱)』、いきものがかり『YELL』など、未来の自分へエールを送り、自らを鼓舞する曲が人気を博していく。
こうした卒業ソングは、随時、合唱にも取り入れられ、今年も卒業式で披露されている。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年3月31日号