芸能

菅田将暉『ミステリと言う勿れ』の成功とドラマ人気に火が付く条件

菅田将暉の両親が語った家庭の秘密

今回も演技の幅の広さを見せつけた

 ドラマにおけるある種のトレンドは、作品のクロージングからも窺われるものだろう。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 冬期のドラマも次々に幕を閉じる時期。前評判の盛り上がりに比べると、話題がしぼんでしてしまった作品も多かった印象です。特に黒木華さんや高畑充希さんといったトップクラスの人気役者が主演したドラマがなかなか盛り上がらず。しめった幕引きになってしまったのはなぜでしょうか?

 振り返れば、黒木さん高畑さんのドラマはいずれも「ネットニュース編集部」「ベンチャー企業」と具体的な仕事現場が舞台。お仕事ドラマの側面と共に人間関係を描いていく内容でした。しかし、脚本が十分に練り切れていないせいか描かれた仕事も表層的でやや雑な作り。リアルさが足りず、また主人公のキャラクターの掘り下げも不十分で苦悩や成長といった人間ドラマの要素も物足りなかった。

 たとえ個性的で演技派の女優たちを看板に並べたとしても、その魅力を十分に発揮するチャンスを準備できなかった、ということでしょうか。

 一方、最終回を前に勢いづいているのが『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系月曜午後9時)。一語終わるごとにネットのコメントも沸騰、視聴率も二桁を維持し続けています。

 今やドラマ人気の新たな指標として注目される「配信再生回数」ですが、このドラマの9話までの見逃し配信再生数は3202万再生に達し、1クールのドラマで「計3千万回超えは民放番組初めて」の快挙だとか。残り一話ですが「ドラマに賭ける」というフジテレビの意気込み通り、しっかり爪痕を残しそうです。

『ミステリと言う勿れ』というドラマは、一見すると「犯人は誰か」といった謎解き要素が多くミステリーのようでいて、しかしその奥には「人間の抱える矛盾とは」「生きるとは」といったテーマが横たわっている。いわば純文学風です。

「真実は1つなんかじゃないですよ。真実は人の数だけあるんです。人は主観でしか物を見れない。自分が正しいとしか言えない」

「人は病に負けたから死ぬんじゃない」

「自分ができることは人もできると信じている教師は、多くを取りこぼすことになる」

 菅田将暉さん演じる久能整のセリフは、当たり前のことに疑問を投げかけたり既成概念にを揺さぶる本質的な問いかけ。だから視聴者も一度ドラマを見たら終わりにはならず自分の中で反芻したり考えたり。謎解きのストーリーに依存せず人間の不思議さや迷い、葛藤や苦悩といった要素がしっかりと盛り込まれ、そうした要素が個性派の役者たちをより一層輝かせた、とは言えないでしょうか。

 このドラマに登場した個性派役者といえば菅田さんはもちろんですが、例えば風呂光刑事を演じた伊藤沙莉さん。女性刑事ということで職場に居心地の悪さを感じ、完璧ではない自分に対する迷いやミスを重ねる弱さ等も含め、人間臭さを描き出しています。

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