スポーツ

52歳の新人調教師・蛯名正義氏 自分の「前進」を実感した再スタート

2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏

2020年に調教師試験に合格した名手・蛯名正義氏

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、調教師デビューについてお届けする。

 * * *
 3月も半ばを過ぎました。蛯名正義厩舎の管理馬は、5頭出走しましたが、まだ一つも勝てていません(3月21日終了時点)。みな、いい競馬はしてくれているんですけどね。

 角田大河くん、今村聖奈さんなどすでに初勝利をあげた新人もいますが、僕がジョッキーとして初めて勝ったのは14戦目、初騎乗から1か月以上たっていました。これが“マイペース”なのかもしれない(笑)。

 一緒に試験勉強した仲間、村田一誠くん、嘉藤貴行くん、西田雄一郎くんは、すでに初勝利をあげましたが、焦りはありません。同期の勝利を素直に喜んでいます。

《2022年3月12日阪神9日10Rレッドアルマーダ・7着》──JRAホームページの調教師名鑑に僕の「初出走」はこう記されました。

 パドックに出ていく時、テレビカメラは僕をアップで撮っているんだろうなと思いましたが、初出走だという特別な意識はありませんでした。

(ジョッキーの池添)謙一と、レース前にどういう話をしたらいいんだろう、こちらが考えていることを、押しつけではなく伝えなくてはと考えていました。厩舎としては点ではなく線として考えているので、今回勝てなくても次につながるような競馬をしてほしいわけで、そういうことの伝え方も考えますね。僕よりも謙一のほうが気にしているようでした。「蛯名さんの初出走だ」と思ってプレッシャーになっていたかもしれません。

 レースは生き物だからその時の雰囲気とか流れによって判断しなければならない。僕がああしろこうしろとは言ってもその通りにはならない。その馬のクセとか特徴とかを伝えること。何より馬装がちゃんとしているかのチェック。これが調教師の仕事。あとはジョッキーの考えに任せます。技術調教師のときもパドックに出ていきましたし、「いい競馬をしてほしい」というのは同じですけれど、これからは、勝てば自分のところにお金が入ってくる(笑)。これは大きな違いです。

 レースは割と冷静に見ていました。いろいろな調教師がいて、机を叩きながら大声でジョッキーの名前を叫んでいる先生もいます。その辺は、ファンと変わりませんね(笑)。僕はまだそれほどレースを使っていないので、これからどうなるか分からないですけれど。

 レッドアルマーダはいいスタートを切って先行しましたが、直線でちょっと苦しくなった。でも一瞬差し返すような脚を見せて、頑張ってくれました。いい内容の競馬をしたなと思っています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン