臨床試験では椎間板性慢性疼痛と診断され、正常時と比べて椎間板の高さの低下が50%未満の14例を対象に実施された。その結果、注射後の24週と48週の腰痛VAS(指標)スコアは有意に低下したという。
「PRP上清を注射すると1~2か月ほどで痛みが軽減します。これまでのステロイド治療だと早期に痛みが軽減しますが、長く持続しませんでした。その点、PRPは奏功まで時間はかかりますが、長期にわたり痛みを緩和できます。残念ながら、この治療は椎間板が完全に潰れている場合には実施不可です。というのも、椎間板が半分以上残り、組織修復能力がある症例に注射することで、炎症性サイトカインの活動を抑制し、痛みが減少すると考えられるからです」(明田講師)
現在はPRPを作製する医療機器が薬事承認されており、医療機関での運用が可能になった。国内の他の医療施設でも、椎間板性慢性疼痛に対する臨床試験がスタート。将来的には実施症例を増やし、より一層の安全性と有効性を積み重ね、先進医療への登録を目指している。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年4月8・15日号