「異国で起きている紛争に、いままでにないくらいの関心の高まりを感じます。現代は、日本のテレビや新聞報道だけでなく、SNSやインターネットを通じて、海外のニュースにも簡単にアクセスでき、より現地に近い情報が手軽に入手できます。それによってウクライナの惨状を身近に感じやすくなったと言えます。
支援活動を行っている団体や寄付募集の情報を目にする機会が多くなり、寄付もインターネット上で短時間でできますから、支援を思い立ってから行動に移すまでのハードルが以前より低くなっていると思います」
しかし支援のつもりで送ったお金が、結果的に紛争を激化させてしまう側面もある。国際政治学が専門で戦争と人道支援に詳しい岐阜大学准教授の上野友也さんが解説する。
「寄付金を受け取るのが政府(国)の場合、使途が見えにくい。ウクライナ政府はロシアに対抗するための武器や弾薬を購入する必要があります。集められた寄付金がウクライナ政府に渡された場合、武器や弾薬の購入に使われてしまう可能性は否定できません」
支援のつもりで寄付したお金が武器に変わり、ひいては “殺人”に関与してしまうとしたらどうだろう。抵抗感をおぼえる人も少なくないはずだ。そんな人はどこへ寄付すればいいのだろうか。
「人道支援や緊急支援を行っている国際機関やNGO(国際協力活動をする非政府組織)なら、武器に使われることはないと考えられます。寄付を募集する際に、医療支援や子供への支援、水や食糧、避難先での生活に必要な物資の提供、心のケアなど、具体的に使途を明らかにしています」(河合さん)
※女性セブン2022年4月28日号