一連の不祥事を受けて会見で謝罪する加藤理事長ら(時事通信フォト)
開口一番、日大の新体制への懸念を表明した田中氏。理由を問うと、こんな答えが返ってきた。
「今回の再生案の背後には、外部から日大を乗っ取ろうとする意図が見え隠れしているからだ。
ポイントは、理事会の改編にある。外部から理事長を連れてきたうえ、現在36人の理事を20人に減らして、その3分の1以上を外部から連れてくるとしているが、少なくとも7人は外から来ることになる。新理事長の息のかかった人間がちょっと集まるだけで過半数だ。簡単に外部主導の出来上がりというわけだ。ちなみに外部からの登用を掲げる現理事長の加藤氏は学長も兼任していて、理事長は辞めても学長には留まる可能性もある」
田中氏は、そう説明したうえで、さらに続けた。
「こうなれば、外部から来た面々が外部の利益優先の大学運営をするだろう。結果、医学部や歯学部を切り売りするなどという事態が起こり得るし、他大学との連携という形で浸食されることも考えられる。うちの医学部や歯学部を欲しがっている大学は多々ある」
「130年の歴史を無視するな」
田中氏には他にも懸念材料があるという。
「文科省の介入も気にかかっている。以前、天下りについてあれこれ要求してきた文科省の次官を怒鳴り飛ばしてやったが、いまはそんなことはできないだろう。相当な数の天下りを入れてくる可能性は否定できない。これも、日大をダメにする大きな要因となり得る。
何より俺が言いたいのは、130年かけて作り上げた学校運営の規則を無視して、好き勝手にルールを変えるなということ。例えば、ロシアが日本に攻めてきたら即座に徴兵制を敷いて軍隊を持つか? まず憲法を改正してからだろう。ちゃんと段階を踏むべきなんだ」
田中氏は、そう訴えた。だが、それもこれも自身の脱税や側近だった元理事らの背任行為が招いたことではないのか。そう問うと、一瞬、色をなしたものの、とつとつと話し始めた。以下、田中氏とのやり取りである。
「俺がカネを本当に貰っていたら、10年でも20年でも刑務所に入ったって構わないし、その覚悟はある。だが俺は貰っていない。ただ……」