この文書に日大執行部が慌てたという情報も入った。だが、瀬在氏に話を聞くと、文書を送ったことを明確に否定した。
「私が出したものではありません。事実無根です。様々な情報が錯綜しているようですが、私が言えることは一点だけ。地に落ちた日本大学を、いかにして再生させるか。全学部が一致団結して、それだけを考えて進んでいます」
誰がなんの目的で投函したのかは不明だが、文面からすると現執行部に通じる人物によるものとみられるため、事は深刻だ。外部主導の再生案に反対する勢力が執行部あるいはその周辺にいることを意味するからだ。
日大にも話を聞くと、「田中前理事長とは決別している」と前置きのうえ、こう回答した。
「学外からの理事で過半数に至ることはありません。また、加藤現理事長が6月末以降も学長に留まる可能性もありません」(広報課)
なお、瀬在氏の名義で現理事らに文書が投函された事実については、「把握している」と答えた。
日大は無事に再生へと踏み出せるのか。
【取材・文】
時任兼作(ジャーナリスト)/慶應義塾大学経済学部卒業後、出版社勤務を経てフリージャーナリストに。暴力団や警察、情報機関、北朝鮮問題などについて多数執筆してきた。著書に『「対日工作」の内幕』(宝島社)、『特権キャリア警察官』(講談社)など。
※週刊ポスト2022年4月29日号