国際情報

チベット族の焼身自殺が相次ぐ 習近平政権の少数民族政策の影響か

習近平政権の政策も影響か

習近平政権の政策も影響か

 中国では今年2月下旬から3月下旬までの1か月間で、3人のチベット族の住民が焼身自殺したことが明らかになった。2009年以降、チベット族住民による焼身自殺は約160件発生しているが、最近数年間は落ち着いているなかで、1か月に3人もの自殺者が出るのは、年間を通じて8人が焼身自殺した2014年以来のことだ。

 習近平国家主席は今年3月、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)で「中華民族の共同体意識」を強化するよう指示し、今年の重要施策として「少数民族と漢族(中国人)との融和」を強調した。とくに、チベット住民の共住区ではチベット仏教への弾圧や伝統的なチベット文字の使用禁止などが指示されており、これらが自殺者増加の原因となっているとみられる。

 インド北東部ダラムサラにあるチベット亡命政府(CTA)の情報によると、中国当局のチベット人弾圧に抗議してチベット族の歌手ツェワン・ロブさんが2月25日、中国チベット自治区の区都ラサに位置する、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマの居住地であり、チベット仏教の聖地ともいえるポタラ宮前広場で焼身自殺を図った。

 ツェワンさんは日本の紅白歌合戦に当たる、大晦日に放送される中国の歌番組にも出演する国民的な人気歌手で、日ごろからチベット文字やチベット文化の継承・保護を訴えていた。

 ツェワンさんが焼身自殺を図った直後、警察官がかけつけ火を消したが、その後、警察で死亡が確認された。

 このほか、 四川省アバ県ギルデン在住の81歳のチベット人ザペンさんが3月27日未明、チベット仏教僧院近くの警察署の前で焼身自殺を図り、警察に連行されて拘束中に死亡。また3 月30日午後4時、青海省玉樹県の公安局前で、同県在住のチベット族、ザペンさんが焼身自殺して死亡している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン