坪田さんは、仮眠のコツは深く眠らないことだとアドバイスする。
「ベッドやソファに横になると眠りが深くなり、目が覚めづらくなるため、椅子に座って机に顔を突っ伏したり、椅子にもたれて座ったまま寝るなど、リラックスしすぎない姿勢で寝ることを意識すること。また、午後3時以降の仮眠も避けてください。夕方に寝てしまうと、夜の寝つきが悪くなります」(坪田さん)
やり方次第で健康効果も得られる昼寝とは対照的に、避けるべきなのは朝の二度寝だ。
二度寝は喫煙やアルコールよりも体に悪いと話すのは、日本ショートスリーパー育成協会の堀大輔さんだ。
「二度寝は脳の思考能力を低下させます。一度目覚めて、再び眠るかそのまま起きるか迷っているときは、想像以上に頭を使っているためです。気持ちがいいからと毎日、何度も繰り返していれば、脳が疲弊し、いざ起床したときの認知能力が極端に下がってしまいます。朝は目覚ましをかけて、すぐに起きた方がいい」(堀さん)
二度寝のデメリットはほかにもある。習慣化すると太りやすくなるのだ。
「人間の体は、起床後の活動に備えて、朝にステロイドホルモン『コルチゾール』が多く分泌され、自然と血糖値が上がる仕組みになっています。本来ならそのまま起きて活動するので血糖値は自然に下がりますが、再び眠りについてしまえば血糖値は上がったままになる。これは食事をした後にすぐに眠るのと同じ状況です」(堀さん)
朝の貴重な時間ばかりか健康まで奪う二度寝だが、強い眠気にあらがいがたいのも事実。すっきり目を覚ましてそのまま精力的に活動するためには工夫が必要だ。
「睡眠中は深部体温が下がって血圧も低く、体はオフモードになっているため、目が覚めてからも起き上がりづらいのは当然です。そこで味方になるのが、光の存在です。睡眠ホルモンの『メラトニン』は、光を浴びると分泌が止まり、脳が覚醒します。夜にカーテンを開けたまま寝ることで、朝、自然に光を浴びることができ、起きやすくなって昼間の眠気も軽減されます。夜の快眠にもつながるでしょう」(白濱さん)