1990年代に珍しく取材を受けた当時の滝崎武光氏(写真/AFLO)

1990年代に珍しく取材を受けた当時の滝崎武光氏(写真/AFLO)

基本的に取材は受けない

 では、この高収益企業を一代で築いた滝崎氏とは、どんな経営者なのか。

 兵庫県立尼崎工業高校を卒業後、外資系のプラント制御機器メーカーに勤めた後、20代で二度起業したが失敗し、三度目の正直で27歳のときにリード電機(現キーエンス)を起業した。当初は大手が手がけないニッチ製品を製造していたが、自動車工場などで使う検出センサーの大ヒットでジャンプアップし、センサー業界のトップへと同社を導いた。

 キーエンスは日本有数の企業であるにもかかわらず知名度が低いのは、製品が一般消費者と無縁の工場向けで、テレビでCMを流す必要がなく、広告宣伝は要らないと割り切っているからだ。それが営業利益率の向上にも寄与している。

 企業のイメージアップのために、滝崎氏がメディアに露出することも滅多にない。そのため滝崎氏については、人物像が謎に包まれているが、1990年代に滝崎氏にインタビューをした元『フォーブス日本版』編集長の小野塚秀男氏は、当時の印象をこう振り返る。

「基本的にマスコミの取材を受けないスタンスの方で、“冷徹な合理主義者”という評判も聞いていたのですが、大雪で取材が一回飛んだにもかかわらず、『あの日は大変でしたね』と労っていただき、取材に対しては物腰柔らかく、非常に丁寧に対応していただいた」

 滝崎氏の経営方針は独特である。キーエンスの元営業社員(1987年入社)で、中小企業診断士の立石茂生氏は、社員時代をこう振り返る。

「社員全員の負荷を同じにするという考え方が貫かれていました。営業所は全員の目が行き届く20~30人に抑え、パーティションなどの仕切りもなかった。サボるのを許さない一方、本社も営業所も全員、残業するんですが、21時でみな帰っていた。そういう意味でも“同じ負荷”なんです」

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン