ビジネス

広告宣伝をしないキーエンス “日本一高い給料”を可能にする経営方針

高収益企業のキーエンスを一代で築いた滝崎武光氏とは、どんな経営者か(時事通信フォト)

高収益企業のキーエンスを一代で築いた滝崎武光氏とは、どんな経営者か(時事通信フォト)

 世界長者番付の2022年版が4月5日、米経済誌『フォーブス』で発表された。電気自動車テスラのイーロン・マスク氏が、アマゾンのジェフ・ベゾス氏(2位)を抜いて初の世界一となったことが話題を集めたが、日本人の顔ぶれにも注目が集まった。

 日本人で100位以内に入ったのは3人。ファーストリテイリング(ユニクロ)・柳井正氏(54位)とソフトバンクグループ・孫正義氏(74位)という世界的経営者の間に割って入ったのが、資産額239億ドル(約2兆9400億円)で61位にランクインした滝崎武光氏(76)である。

 滝崎氏はセンサーのメーカーであるキーエンスの名誉会長で、米経済情報サービスのブルームバーグが昨年9月に公表した『ブルームバーグ・ビリオネアズ・インデックス』(2021年9月14日時点)では、保有資産で柳井氏を抜いて日本一になったとも報告されている。柳井氏と孫氏がコロナ禍で株価の下落により資産を減らしたのに対し、滝崎氏はキーエンスの株価が大幅に上がったことで、両者を抜き去る結果となったという。

 しかし、日本一の富豪と言われても、滝崎氏は柳井・孫両氏に比べると知名度が低く、人物像もほとんど知られていない。

 キーエンスは、1974年に滝崎氏が兵庫県尼崎市に設立した会社で、自動車や精密機器、半導体などの工場で生産工程を自動化するファクトリーオートメーション(FA)にかかわるセンサー類を開発・製造するメーカーである。

 2020年度の売上高は5381億円で、対する営業利益は2968億円。営業利益率は51.4%に達している。東証プライム企業の平均的な営業利益率は7~8%とされているので、同社は突出して高い。ゆえに株価を押し上げ、時価総額(2022年4月12日現在)は13兆2000億円。トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTに次ぐ4位である。

 過去5年間の社員平均年収は1930万円。業績に連動するため年ごとに差があるが、東証プライム企業のなかでも図抜けて高く、“日本一給料が高い会社”と呼ばれている。

 キーエンスの特長を、経済ジャーナリストの有森隆氏はこう語る。

「工場を持たず開発に特化し、設備投資を最小限に抑えている。そして、センサーをはじめとする利ざやの大きな製品にラインアップを絞り、卸問屋を一切使わない直販体制で中間マージンを省き、値引きを禁止することで、極めて高い利益率を実現しているのです」

 顧客が抱える問題を営業社員が見つけ出し、それを解決する製品を開発して提供するスピードが極めて速いのが同社の強みだという。

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン