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藤井秀悟、独立リーグ指導者に転身「サインボールも球団に寄付した。それでも楽しい」

今年から指導者に転身した藤井秀悟

今年から指導者に転身した藤井秀悟

 プロ野球選手の引退後の“第二の人生”は多種多様だ。NPB球団の監督やコーチといった役職に就く者は一握りだが、野球というスポーツの裾野は広いこともあり、様々なかたちで関わり続けるOBは少なくない。ヤクルトの元エース・藤井秀悟(44)もその一人である。NPBとは大きく違う環境に身を置く藤井が、改めて自身の現役時代を振り返り、今後の展望を語った。【前後編の前編】

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 自分のサインボールを練習のノックボールに使うことなど、想像できなかった。

「これが現実なんだ……もっと良い環境で選手をプレーさせてあげたい」

 かつて、ヤクルトのエースとして活躍した藤井秀悟はそう口にした。藤井は2020年から球団広報兼打撃投手として務めていたDeNAを昨年限りで退団し、今年からは関西独立リーグ『06BULLS(本拠地・大阪府東大阪市。以下、ブルズ)』でゼネラルマネジャー(GM)補佐兼投手コーチを務めている。

「失礼ですが、関西に独立リーグがあることすら最近まで知らなかったんです。だからどんな環境か想像できなかった。飲食店やコールセンターなどアルバイトで生計を立てながら、NPBを目指している。そんな世界があることに驚きました」

 藤井の1日は多忙だ。午前6時前に起床し、電車と選手の車を乗り継いで大阪府大東市にあるグラウンドで午前9時から午後1時まで練習する。プロの施設と違い、シャワーはない。練習後は一度自宅に戻った後、再び身支度して株式会社canteraの本社(大阪府大阪市)に向かう。矢白木崇行代表取締役がブルズでオーナーを務め、藤井は同社の社員として報酬を得ているという。元プロアスリートの就職支援、新卒のアスリート学生に対する進路サポート業務を午後6時まで行う。ブルズのスポンサーを集めるため、時間の合間を縫って地元企業の挨拶に回る。

 不慣れなことが多く目まぐるしい生活だったが、3か月が経った。

「やりがいを感じています。自分が必要とされている環境があることがありがたいですから。ブルズの選手たちは上手くなりたいという気持ちがとても強いので、少しでも良い方向に伸びるように手助けしたい。より良い環境で野球に取り組んでほしいので、スポンサー集めも必死です。応援してくれるファン、企業が増えれば練習環境も施設も改善されていくわけですから」

 前述したように野球用具が不足しているため、藤井が実家に保管していたボール、アンダーシャツなどを球団に寄付した。室内練習場がないため、グラウンドが雨でぬかるんで使用不可の時はコンクリートの上を走ったことも。決して恵まれた環境とは言えない。だが、藤井はブルズの育成方針に心を突き動かされたという。

「選手はユニフォームの着こなしがしっかりしていて、茶髪、ロン毛、ひげは禁止。巨人みたいな雰囲気ですね。球団代表兼GMを務める谷口功一さんの方針で、礼儀、言葉遣いも大事にしている。僕は真面目と言える人間ではないのですが(笑)、野球に取り組む姿勢は非常に大事ですし、野球を離れても必ず役立つ。ブルズは人としても成長できる環境だと思います」

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