国内

秋篠宮の告白 父から受け継ぎ、そして悠仁親王へと受け継がれた1冊の本

幼少期の思い出も振り返った(秋篠宮は右から3番目。写真/共同通信社)

幼少期の思い出も振り返った(写真/共同通信社)

 コン、コン。ドアのノック音とともに、対話劇は幕を開ける。「寒いですねえ」。部屋に入ってくるなり、そう切り出すのは秋篠宮である。それに応じるのは元毎日新聞編集委員のジャーナリスト・江森敬治氏だ。たわいもない話題に始まり、父親の退位や長男の進学などについて会話は深まっていく。このたび江森氏が上梓する『秋篠宮』(小学館刊)には、そんなやりとりが生々しく描かれている。5月11日の同書発売に合わせて、秋篠宮の肉声を独占掲載する。【全3回の第2回。第1回から読む

 * * *
 取材場所となった秋篠宮邸の部屋には、三羽の鳥の剥製やアンモナイトのような白い置物がある。これは秋篠宮いわく、珍しいものを置いておくと初対面の訪問者とも会話が広がることがあるからだという。「自らのことをシャイで口下手だと考えている、殿下らしい工夫が見られます」と江森氏は言う。本書が紹介する秋篠宮の姿は、多くの国民にとって新鮮だろう。幼少期のエピソードとして次のような記述がある。

〈兄は木登りが得意でスッスッスッと、木の上まで登っていった。東宮御所の駐車場近くには煙突のある建物があり、兄はその上まで登ったこともあった。(略)秋篠宮は学校から帰ってきても、部屋に籠もり、誰かに引っ張り出されないと外には出なかった〉(同書より)

 実直な兄・天皇に対して、秋篠宮は自由奔放な次男として語られることが多かった。幼少期に限っていえば、実際は逆だった。

 皇族「人間・秋篠宮」の素顔が最も自然な形で現われるのは、両親についての問答だった。

「地方に母が出かけるというので、ものすごく泣いたという思い出は鮮明に残っていますね」

 これは江森氏が父親である上皇、母親である上皇后との最初の思い出を聞いた際の返答である。

〈上皇后が、九州に公的な活動のために出かけた時の話だという。彼は、親と離れるのが辛く寂しかった。「(そろそろ)出掛けます」と告げた母親に対して、「行かないでえー」と、大声で泣き叫び、引き留めようとした〉

 江森氏によれば、母親との思い出を話す秋篠宮は嬉しそうだったという。

「何かの機会に、東宮御所で、宮内庁の嘱託のカメラマンが撮影するということがありまして……(略)カメラのフラッシュがまぶしい光でね、びっくりしました。すると、母が撮影を終えて部屋に戻ってきてから、『まぶしかったでしょ』とやさしく声をかけてくれました」

 父親に対してはどんな記憶を持つのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン