国内

4630万円返還拒否24歳男性の実名公表 地元住民「移住者増えて活気が出たと思ったら」

現在アクセスしにくい阿武町公式サイトのインフォメーションページには広報誌「あぶ」のPDFを画像データ化したものが掲出されている

現在アクセスしにくい阿武町公式サイトのインフォメーションページには広報誌「あぶ」のPDFを画像データ化したものが掲出されている

 山口県阿武町が新型コロナに伴う住民税非課税世帯への臨時特別給付金10万円をめぐり、対象の全世帯相当分の計4630万円を誤って1世帯に振り込み、回収できなくなっている問題に新たな展開があった。4630万円を振り込まれた男性は「お金はすでに動かし、もう戻せない」と主張し、返還を拒否していた。これまで返還拒否者の名前は非公開だったものの、自治体が氏名の公表に踏み切ったのだ──。

 5月12日、阿武町役場は町の公式ホームページを11時40分に更新。「公金の誤振り込みとその後の対応について」と題したページを掲出した。公開されたのは、町の広報誌『あぶ』に掲載予定とされる記事のデータだ。そこには公開に至るまでの経緯、そして今後の対応などが記されている。

 阿武町町長・花田憲彦氏の署名入りで発信された同記事の中では、返金に応じない町民に向けて民事訴訟を行う方針であることが明示された。「一定程度の証拠が得られた」ということで訴訟する方針を決定し、12日に行われた町議会臨時会にて「不当利得返還等請求訴訟」の提訴が可決された。今回の訴状の内容も記載されており、原告が阿武町であることから始まり、被告である町民の実名と現住所も晒されている。

「今回訴えられた町民は、24歳の一般男性です。阿武町が力を注いでPRしている“空き家バンク”制度を利用して、1年半ほど前に移住してきたそうです。男性はすでに勤め先を退職しており連絡が取れない状態ではありますが、さすがに氏名が公表されて提訴されたとなると、居場所がわかるのは時間の問題ではないでしょうか」(全国紙記者)

 今回の町民に誤振り込みしたとされる総額は4630万円だが、今回の訴状には「5115万9939円及びこれに対する令和4年4月8日から支払済まで年3分の割の金員を支払え」とある。元の4630万円に加え、弁護士費用および交通費等の諸費用を含んだ金額だとされる。

 裁判沙汰になった以上、訴状に氏名が記載されるのは自然な流れだ。とはいえ、ある意味で日本中からの注目が集まる人物だけに、ネット上では、この人物のプロフィールをさらに“特定”しようとする動きまで起きている。地元住民は語る。

「こんなことが地元で起きるとは想像もしていませんでしたよ。周囲はこの話題で持ち切りです。訴訟に至るまでに何とかならなかったのかとは思いますけど、普通は返還を求められた時点ですぐ返しますよね。阿武町は高齢者が多い町だけど、最近は若い移住者が増えて、少し活気が出てきたなんて思っていたんですけどね」(地元住民)

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン