ライフ

「ワクチンは打ちたいけれど」 今さら気軽に打てないと嘆く人もいる

新型コロナウイルスの感染拡大以降、3年ぶりに会場で開催された「ニコニコ超会議」で、ビデオでワクチン接種を呼びかける岸田文雄首相(時事通信フォト)

新型コロナウイルスの感染拡大以降、3年ぶりに会場で開催された「ニコニコ超会議」で、ビデオでワクチン接種を呼びかける岸田文雄首相(時事通信フォト)

 ワクチンを打つべきかどうか、マスクを着用すべきかどうか、誰かに決めてもらうのではなく自分で決めなければならない場面に直面させられて、戸惑い、不安を抱える人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、ワクチン接種をめぐり理不尽なことばかり自分に起きるという人の嘆きをきき、今のコロナ対応では救いきれない人たちの存在について考えた。

 * * *
 新型コロナウイルスのワクチンについて、我が国内において政府が推奨する「3回接種」を終えた人は、総人口の50%を超えたという。筆者の周りには、3度目の接種を終えていないという人もチラホラいるが、一部で目立っている強烈な「反ワクチン」思想を抱く人は、それほど多くないと言った印象だ。

 しかし、今なお「ノーワクチン」状態だという都内在住の販売店勤務・丸尾菜美さん(仮名・30代)は、もはや打ちたくても「気軽に打てる状況ではない」と訴える。

「元々ワクチンは怖いという印象があり、インフルエンザワクチンも、大人になってからはほとんど打っていません。コロナワクチンに対しては、さらに疑問を抱いていました。マスコミや行政が一様に『打つべき』と言っているのも怖くて、反ワクチンの人たちの書き込みやブログ、動画を見ているうちに、絶対に打ちたくないと思うようになりました」(丸尾さん)

 ワクチンは、いわゆる「ゼロリスク」というものではないのも事実。起こり得る副反応などとリスクの大きさを比較して、多くの人が接種することが公衆衛生上で有効であるとの判断から実施されているので、個々人の「気持ち」は考慮の材料としてさほど大きな要因になりえない。だからこそ、接種について不安が拭いきれない人がいるのも無理はない。丸尾さんはこの消えない不安を解消するために、反ワクチン論者の言説に触れ、そして積極的に理解しようとした。その結果、ぼんやり程度だった不安を肥大化させてしまったのである。

 では、気持ちが固まって落ち着いたのかというと、そうはならなかった。反ワクチンを主張する人々とのやり取りでは、違和感も感じたのだ。

「最初は打つも打たないも個人の自由、と言われていてその通りだと思ったんです。でも、反ワクチン系の人たちは次第に『打つことは悪』というふうに変わっていってしまい、ワクチンの非接種を強要し始めました。もちろん、打つべきという政府も、打つも打たないも自由とはいいつつ、社会の空気に強要されているように感じ、受け入れがたかったのですが」(丸尾さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン