こうした授業スタイルなのは、現時点での正解が、10年後に変わらず正解だとは言い切れないからだ。社会が変われば、常識も変わる。子どもたち自身が自分たちで考えをアップデートできるようになることに重きを置いているという。
「怖いのはSNSではなくて、SNSを攻撃に使う人たちです。子どもたちと話すときは、SNSが怖いものだとか、大変なものだという先入観を植え付けないよう気をつけてお話をさせていただいてます」(響子さん)
松永さんもこう話す。
「車もインターネットも、とても便利なものです。でも使い方を間違えると人を傷つけることになってしまう。交通に関しても、インターネットに関しても、教育がとても大事だと思っています。
僕は真菜と莉子と車でいろいろなところへ行って、すごく楽しい思い出がたくさんできました。だから車自体が、インターネットやSNS自体が、悪いんじゃないんですよね。
発信するのが怖いと思うこともあるんですけれど、同時に、その何百倍、何千倍の応援してくれる方々のメッセージやコメントに救われている部分もあるんです。多くの人の優しさ、優しい言葉によって。
だからこそ、全ての人がインターネットの利益を享受するために、みんなが気持ちよく使えるために、仕組み作りや心地よいプラットフォーム作りとか法整備とか、そういったことが必要になってくるフェーズに入ったんだろうと考えています」
「Remember Hana」も「あいの会」も思いはひとつ。二度と被害に遭う人がいなくなることだ。しかしそのために社会やシステムが後退することは望んでいない。交通事故においても誹謗中傷においても、傷つき、苦しむ人がひとりでも減る社会を作ること。そのために何ができるのか、私たちは考えていく必要がある。
文・和久井香菜子