一方、見知らぬ関係でも騒動に発展することがある。スーパーやコンビニ、飲食店の入店拒否は日常茶飯事だ。だが、差別は店側からのものだけにとどまらない。
「息子は3才なので、マスクを長時間つけていられません。あるとき、スーパーで買い物中に一度手にとったお菓子を棚に戻したら、それを見ていたお客さんがわざわざ店員さんを呼んで、“マスクをしていない子供が触ったから、棚から下げてほしい”とこちらに聞こえるように言うんです。遠方に遊びに行けない時期が続いて、スーパーでのお菓子選びくらいが息子の楽しみだったのに……」(30代・Fさん)
デパートに勤務する50代のGさんは、「マスクをされていないお客さまに対して、別のお客さまから“注意して追い出してほしい”と強い口調で要求されることがよくあります」と漏らす。同様のことは、飲食店のスタッフに対しても行われる。キッチンで働く60代のHさんが悲しそうに話す。
「マスクの息苦しさと、キッチンの熱気が相まって気分が悪くなってしまうことがあったので、勝手口から外に出て、マスクを外して深呼吸をするようにしていました。もちろん、お客さんの前でマスクをとったりはしていませんし、必ず手を洗ってから調理に戻るようにしていましたが、あるときお客さんから“マスクを外していた人の料理は食べられない”と。まるで“バイ菌”扱いですよ」
過激すぎる「ノーマスク差別」が横行しているのだ。そもそもマスク着用は「推奨」であって「強制」ではないはずだ。
「医学的な見地からいうと、マスクを外すことを推奨しています。他人の目を過剰に気にし、同時に他人への目が必要以上に厳しくなっている状況ですが、少なくとも『選択の自由』は認められるべきです」(前出・藤沢氏)
新型コロナと迎える3度目の夏が始まる。
※女性セブン2022年6月9日号