2014年、南イタリアで行われた結婚式のバージンロード、宇多田ヒカル(39才)の隣を一歩一歩踏みしめるように歩いていたのは、父親・宇多田照實さん(73才)だった。しかし、いまそんな力強い父親の姿が彼女の近くに見えないという。来年でデビュー25年になる宇多田のすべてを見守った彼は数年前からある“準備”を始めているようで──。
《人生の中で、おそらく誰にとっても岐路というか、大きな出来事である親の死と、子どもができて自分が親になるという二つが、私は割と近くに起きて》──雑誌『VOGUE JAPAN』7月号のインタビューで宇多田ヒカルが語ったのは、自らの「宇多田ヒカル」分析だった。
インタビュー後に彼女は「普段なかなか踏み込めないような多岐にわたる話ができた。とてもいい記事になってうれしい」と語っていたようだが、8ページにもわたる特集記事では、これまで明かしてこなかった、彼女がいまの「宇多田ヒカル」に至った理由を振り返っている。
自分をどう愛すればいいかわからないゆえに子供の愛し方もわからなかったり、他者と共存することにずっと葛藤してきたこと、また9年近く精神分析を受けていることや、ここ4年は恋人と呼べる存在がいないことも明かした。
さらに2013年に自殺した母親の藤圭子さん(享年62)について、「不安定で危うい人だった」としたうえで、「親を亡くして初めて、ここから大人になるしかないんだという感覚がありました」と語り、母の死が自分を大きく変えたことも告白した。かつてないほど明け透けに語ったインタビューのように見えるが、秘された大きな存在があった。
「宇多田さんの父親であり、彼女のプロデューサーでもある宇多田照實さんのことです。今回のインタビューで宇多田さんは母親や私生活についてかなり踏み込んだ発言をしましたが、父親のことはほとんど語らなかった。関係者の間では、彼女の“沈黙”が話題になっています」(レコード会社関係者)
インタビューで「誰の期待を裏切ることが一番ハードか」と問われた彼女は「母親の期待」と断言。一方で父親については「彼もミュージシャンですけど、どちらかというと感謝しているのは教育上の協力というか」と答えるにとどまった。
「『天才・宇多田ヒカル』を二人三脚で作り上げた照實さんは、ここ最近、彼女の音楽制作の第一線から距離を取っているそうなのです。高齢ということもあり、体調面の不安も大きいようです。そのことを誰よりもヒカルさんが心配していて、精神的な動揺も少なくないようです」(前出・レコード会社関係者)