芸能

泉ピン子、橋田壽賀子さんの遺骨を海へ「総額35万円」の激安葬儀だった背景

泉ピン子

泉ピン子が実施した葬儀の理由とは

「私にも遺骨をください」。約40年にわたり、公私を共にした“母”との別れに際し、“娘”はそう願い出た。数々の作品で女の人生を描き続けた橋田壽賀子さん(享年95)。彼女の人生もまた、愛や試練に満ちたものだった。心の内を知る泉ピン子(74才)が、遺骨を手に向かうのは思い出の場所で──。

 その日、窓の外では桜が満開になっていた。2021年4月4日、泉ピン子やお手伝いさんらに見守られるなか、橋田壽賀子さんは穏やかな表情で旅立った──あれから1年2か月。橋田さんの「葬儀」が明かされたが、多くの名作を残した大物脚本家の見送りと考えると、それはあまりに質素なものだった。

 6月2日、朗読劇『すぐ死ぬんだから』の記者会見でピン子が口にしたのは、橋田さんの葬儀費用について。「いちばん安い葬儀屋さんに頼んだ。35万円」とあけすけに話したのだ。

 彼女が女優として脚光を浴びたのは、橋田さんが脚本を担当したNHK連続テレビ小説『おしん』(1983年)での母親役だった。その後も、29年にわたって放送された長寿ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)をはじめ、数多くの“橋田ドラマ”に出演してきた。

「2人は、芸能界での戦友である一方で、母と娘のような関係でもありました。ピン子さんは橋田さんをママと呼び、晩年には肉親のいない橋田さんが自宅のある熱海に呼び寄せたほど。橋田さんが入院した際にはピン子さんが毎日のように見舞いに訪れていました」(芸能関係者)

 晩年、橋田さんがピン子に語っていたのは、「葬式や偲ぶ会は行わず、死んだことを誰にも知らせないでほしい」ということ。遺志に最大限沿う形で行われたのが、「棺桶はすぐ燃やすからいちばん安い木製のもの」「霊柩車は普通のバン」「お経はピン子があげて戒名もなし」という、総額35万円の“激安”な葬儀だった。

 近年は家族葬など小規模の葬儀が増えてきたが、それでも平均費用は約119万円(※葬送サービスを提供する会社の鎌倉新書が、2020年に2000人を対象に行ったアンケートより)。平均値からしても驚きの価格だろう。

 さらに会見で注目を浴びたのは、「6月14日に橋田先生のお骨を(豪華客船の)飛鳥IIに乗って散骨してくる」という発言だった。橋田さんの遺骨はいま、愛媛県今治市にある橋田家の墓で彼女の両親と共に眠っている。納骨されたのは昨年の4月9日。ピン子や橋田さんのお手伝いさんらが熱海から貸し切りバスに乗り、賑やかに運んだという。

 だが、その墓には1989年に肺がんで亡くなった橋田さんの夫・岩崎嘉一さん(享年60)の遺骨は納められていない。死後に一緒になれない背景にはドラマさながらの嫁姑バトルがあった。

「橋田さんは1966年、41才の誕生日に当時、TBSのプロデューサーだった4才年下の岩崎さんと結婚しました。周囲は大人同士の結婚を祝福しましたが、岩崎さんの家族は橋田さんのことをよく思わなかった。特に姑との関係は最悪で、『壽賀子さんはうちの墓には入れない』と宣言されていたそうです。橋田さんは生前から、“私が死んでも夫一族の墓には入らない”と言っていました」(ドラマ関係者)

 橋田さんが自宅で亡くなった日、部屋には秋川雅史が歌う『千の風になって』が流れていた。

「晩年の橋田さんは、この曲をよく聴いていました。夫に早くに先立たれ、一緒の墓に入ることもできない橋田さんは、ずっと寂しさを感じていました。そんなときに聴いたのが『千の風になって』。夫の魂はお墓にいるわけじゃない、千の風になって見守ってくれているのだと思い直したそうです」(橋田さんの知人)

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン