権力闘争を繰り広げた13人の「死亡年表」
一気に爆発
●父を伊豆に追放
その義時が父・時政を追放し、名実共に主役に躍り出るのが「牧の方の変」。時政と妻・牧の方(宮沢りえ)が娘婿で頼朝の養子でもあった平賀朝雅(山中崇)を将軍に擁立しようとしたことが原因とされる。
「時政のこの行動が『北条家グループ』内の御家人の反感まで買ってしまった結果、父親の金魚のフンだった義時が、『このままでは北条家がやばい』と時政を伊豆に追放する。時政はその後出家し、地元で静かな余生を送りました」(本郷氏)
有力者でありながらもコミカルに描かれてきた時政。三谷脚本は追放の場面をどう描くのか。
「時政は魅力的な愛されキャラ。追放の場面でも『可愛い奥さんと一緒だからいいかー』とお茶目なノリで去っていく可能性もある」(ペリー氏)
●最後の政敵を晒し首に
義時が「北条氏の天下」を確実にした最後の戦いが「和田合戦」だ。
「北条家グループ内でも権力闘争が起き、なかでも和田義盛は義時にとっての『最後の政敵』でした」(本郷氏)
史実では一族もろとも討ち取られ由比ヶ浜で晒し首にされるという壮絶な最期を遂げる義盛だが、ドラマ内では豪放磊落な男として描かれ、登場人物のなかでも時政と並ぶ愛されキャラのひとり。
「いきなり眉毛を片方剃るなど、ハチャメチャで面白い。ワイルドな風貌で破天荒ですが、まだ大きな活躍シーンはありません。三谷さんはあえて和田合戦までためて、一気に爆発させるのではないか」(ペリー氏)
●中立を味方につけ勝利
異なるグループの政敵を滅ぼし、グループ内での権力闘争にも勝ち、「13人」の勝者となる義時。その勝因を本郷氏はこう分析する。
「北条家は中立の大江広元ら『官僚グループ』を味方につけたことが大きかった。義時が実権を握った後も、広元たちが幕府を切り盛りして義時を支えました」
ドラマ内では回を重ねるにつれて非情さやしたたかさも見せている義時だが、ペリー氏は今後にこんな期待を寄せる。
「歴史考察では、頼家の暗殺も実朝の暗殺も『義時黒幕説』があります。三谷さんはミステリーの名手なので、義時が黒幕キャラに変貌するかもしれないし、もしかすると『実は別の黒幕がいました』みたいな展開になるかもしれない。勝者が見せる“本当の顔”を、早く見たいですね」
最後まで目が離せない。
※週刊ポスト2022年6月24日号