「13人の合議制」発足時の人物相関図

「13人の合議制」発足時の人物相関図

 そして両グループの対立の間で「どちらでもいい」と考える3つめの中立集団が、大江広元(栗原英雄)を中心とする『官僚グループ』。中原親能(川島潤哉)ら政治能力のある4人がここに入る。

「今回の大河でも上総広常(佐藤浩市)が字を書けずに練習していたというエピソードが出てきましたが、当時の御家人たちの教養レベルは低く、頼朝の時代にも政治の中心となっていたのは京都から来た官僚たちでした。その代表が今後もブレーンとして活躍する大江広元です。彼らは好むと好まざるとにかかわらず、将軍・頼家を補佐する中立の立場。13人の合議制を重視していなかった。

 合議制発足当初は各勢力の力も拮抗しており、激しい権力闘争が生じるのは避けられなかったのです」(同前)

 この3グループの対立を軸に、これから起きる殺し合いの勝者と敗者を見ていく。

一族もろとも滅ぼされる

●一匹狼が最初に脱落
 歴史を繙くと、13人の中で真っ先に脱落するのが梶原景時だ。石橋山の戦いで敗れ、洞窟に隠れていた頼朝を「見て見ぬふり」をして助けたことで頼朝の信頼を得、腹心の部下となった。

 合議制発足からわずか半年後、頼家の忠実な家来として権威を振るう景時のいきすぎた言動が御家人たちの怒りを買って失脚。巻き返しを狙って京都を目指す途中で、一族もろとも滅ぼされてしまう。これが「梶原景時の変」である。

「景時は非常に頭が切れ、御家人たちのなかでまともな字を書けたのは景時と北条時政くらいでした。時政はそんな景時を『13人』のなかでも最も恐れていた」(本郷氏)

 景時が死んだことで、『源頼家グループ』は強力なカードを1枚失ったといえる。時代劇研究家のペリー荻野氏も景時に注目する。

「いろいろな人物の思惑が絡み合うなかで、景時は一匹狼として描かれ、今作でも個性が際立っている。中村獅童さんは同じく三谷脚本の大河ドラマ『新選組!』(2004年放送)に出演した時はおっちょこちょいの三枚目役。今回の暗くて陰のある役は正反対で、そのギャップが面白い」

●狙われた比企家
 景時の死の3年後、北条家に滅ぼされるのが、同じ『源頼家グループ』の中心的存在だった比企能員だ。

「頼家の後ろ楯は義理の父である能員がいる比企家。北条家としては、頼家を将軍の座から引きずり下ろして北条家で育てた実朝(後の3代将軍)を将軍に就けるためにも、比企家を早々に潰しておきたかった」(本郷氏)

 本郷氏は、能員の敗因は彼の「無能」ぶりにあると続ける。

「なぜ能員は景時を助けなかったのか。同じ『頼家グループ』として手を組めばよかったのに、周りに同調し景時を潰す側に積極的に参加してしまった。彼の政治的センスのなさを感じます」

 この比企能員の姪が、後に北条義時の正室となる比奈。ペリー氏は、ドラマにおける比奈の行く末が気がかりだと話す。

「正室として義時に嫁ぐ比奈は、北条家と比企家が対立した時どうなるのか。義時の立場にも注目して見たいですね」

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