国内

参院選、自民大勝の流れか 野党は有権者の不満を汲み上げきれず

岡山選挙区も荒れるか(時事通信フォト)

まだ何が起きるか分からないものの…(時事通信フォト)

 参院選挙(6月22日公示、7月10日投開票見込み)に向けて各候補が動き出した。今回は往年のアイドルからお笑い芸人、ものまねタレント、売れっ子漫画家まで著名人候補が盛りだくさんだ。たとえ地盤はなくても「知名度が高い即戦力」として、各党が競って選挙区、比例代表にタレント候補を擁立する。

 人気のあるタレント候補はまさに「選挙の華」といっていい。政党の注目度はアップするし、有権者の関心も高まる。だが、名前が知られているからといって票が入るわけではない。選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。

「以前は芸能界出身などの目玉候補は限定的だったが、近年、参院選に多くのタレント候補が出馬するようになった。しかし、結果は芳しくありません。前回参院選では当選したのは格闘家の須藤元気氏くらいで、元『モーニング娘。』の市井紗耶香氏をはじめ、俳優やタレント候補が軒並み落選しました。そもそも追い風が吹いている政党の候補者でなければ、知名度が集票力につながらない。参院選はとくに、最後にものをいうのは政党の支持の高さです」

 本誌は野上氏の協力で参院選の全選挙区、比例代表の情勢を分析した。結果は自民党が議席を伸ばして躍進と出た(各党の議席予測は別表参照)。

 野上氏が選挙全体の流れをこう俯瞰する。

「最近の世論調査は信じがたい数字が出ている。読売新聞の6月調査では内閣支持率64%、自民の政党支持率43%で合計107%になる。この合計数字が50%を割り込むと政権は危険水域になるという目安に使われるが、逆に100%を超えるのは異例。参院選の比例代表の投票先も読売は自民が45%、日経調査では50%とこれまた高い。選挙は投票1週間前の風向きで決まるから、まだ何が起きるか分からない不確定要素はあるが、世論調査の数字は自民大勝の流れを示している。そうなれば岸田政権は総裁任期のあと2年以上は安泰になる」

「だが」と野上氏が続ける。

「このところ物価は急上昇し、給料は上がらず、国民の生活は間違いなく苦しくなっている。一般国民が岸田政権をそれほど支持しているとは考えにくい。ではなぜ世論調査はそんな数字になるのか。理由は野党が有権者の不満を汲み上げきれず、選挙の争点をつくることができていないからです。争点がないから有権者は選択肢がなく、現状を追認するしかない。選挙戦でタレント候補の動向ばかり注目されるのは、有権者にとって決して好ましい選挙のあり方とは言えません」

 タレント候補ばかりが目立つ中で、他の候補が何を語り、何をなそうとするのか。

 これから始まる選挙戦で有権者は候補者の人物、言動を冷静に見極める必要があるという指摘だ。

※週刊ポスト2022年6月24日号


【訂正】
各選挙区予測の図において、政治ジャーナリスト・野上忠興氏は富山選挙区について自民党と予測していましたが、誤って立憲民主党と掲載していたため、訂正しました。

関連記事

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン