党内では責める人がいない
石井氏をめぐっては、今年5月、参院選栃木選挙区に維新が擁立した新人女性候補について「顔で選んでくれれば一番を取るのは決まっている」と発言し、女性差別だとして大きな批判が起こった。党は厳重注意したものの、その後も茨城県牛久市の演説で新人女性について「見た通りの人で、顔だけ見ると」と言いかけた後、「あまり顔のことを言うとたたかれるから言えない」と続けたという(東京新聞6月5日付)。
何も懲りていなかったのだ。
石井氏は取手市議から2009年衆院選に民主党比例代表で出馬し初当選。その後、国民の生活が第一、日本未来の党と転籍を繰り返し、維新が初めて候補者を立てた2013年参院選で維新候補として出馬するも落選。2016年の参院選で再び国政に返り咲いた苦労人である。
石井氏について維新関係者はこう言う。
「65歳の石井さんは永田町では中堅ですが、若手の多い維新の中では面倒見の良さから『人のいいおじさん』として人望を集めています。政策立案能力があるわけではないけど、1年生議員をよくご飯に誘っていて、親しみやすい人柄だから、嫌っている人を見たことがない。
『顔で選んでくれれば一番』発言も、党内では彼をそんなに責める人はおらず、まぁしょうがないか、というぐらいの受け止め方です。身内、幹部には甘い党なんです」
だが、今回の発言は“しょうがない”で済まされるはずがない。長く差別問題について取材してきたジャーナリストの大谷昭宏氏は言う。
「石井氏の発言は言語道断です。石井氏は差別の問題を取り上げて橋下氏を持ち上げ、『自分は差別問題に理解がある』と示したかったのかもしれませんが、この発言は差別を助長するものでしかありません。差別問題についての知識も理解もないまま、安易にその問題に触れ、結果として差別を助長、拡散させることなどあってはなりません。
さらに、この街頭演説の動画を維新がYouTubeで配信していたとすれば、組織として差別問題についての理解が浅かったと言わざるを得ないでしょう」