原監督も頭を抱えている?(時事通信フォト)

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失われた競い合いの精神

 坂本は高卒2年目の2008年にショートのレギュラーに定着して以来、ゴールデングラブ賞を5回受賞。2016年に首位打者、2019年にMVPを獲得するなど、巨人で不動の地位を築いている。

 一方で、坂本の「後継者探し」は数年前からチームの懸案事項として浮かび上がっていた。別の巨人番記者はこう語る。

「坂本が30歳ぐらいの時から、球団は後継者を探し始めました。守備の負担が大きいポジションだし、故障のリスクもある。実際に近年は故障で戦線離脱するケースが増えており、今年は開幕直前、4月末と2回離脱しているし、腰痛という持病も抱えている。いつまでもショート兼主将という負担を背負わせるわけにもいかない。

 昨年の開幕前に先発ローテーション左腕の田口麗斗(26)を放出してまで廣岡大志(25)を獲得したのは、ポスト坂本を育てたいとの思惑が球団にあったからです」

 そのほかにも坂本の後釜と言われた選手は数多く、湯浅大(22)、若林晃弘(28)が期待されているが、これまで坂本ほどの目立った活躍はできていない。在京スポーツ紙デスクが分析する。

「廣岡は守備でイージーミスが多く、湯浅は打撃面で課題が残るなど、どの選手も実力面で坂本に劣りますが、それ以前に一番の問題は精神面です。いずれの選手も坂本を尊敬のまなざしで見ていて、“超えてやる”という気概がない。それは他のポジションの選手も同じです。

 坂本が復帰した試合後に4番の岡本和真(25)は『坂本さんがいると僕らも凄く安心感がある』と話していましたが、本来はチームを引っ張っていく立場の選手。チーム全体が坂本に甘える精神状況になっているので、次期ショートも次期主将も生まれてこない」

 そうした中で光明となっているのが、高卒2年目の中山礼都(20)だ。坂本が戦線離脱した期間にショートのスタメンで多く出場し、守備では俊足を生かした広い守備範囲でチームを再三救った。だが、まだまだ坂本の「正統な後継者」の地位は築けていない。

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