『オールドルーキー』に主演する 綾野剛
夏休み前に視聴者をつかんでおきたい
実は昨年6月21日に『ナイト・ドクター』(フジテレビ系、月曜21時)が異例の早期スタートをしていました。さらにその他の作品を見ても、ゴールデン・プライムタイムの過半数が7月第1週にスタートするなど、過去最速の早さだったのです。
ただ昨年は、「東京オリンピックが7月21日~8月8日に開催される」という特殊事情があり、「早めにスタートして開幕前に視聴者をつかんでおこう」という狙いがありました。実際、各ドラマ枠が昨年だけは他のクールより1~2週早くスタートしていたのです。
では東京オリンピックのない今年は、なぜ早いのか。
まず冒頭に挙げた『オールドルーキー』に関しては、、9月開催予定だったアジア大会の放送を想定(延期が決定)した編成と言われています。また、7月10日に参議院選挙の特番が放送されて休止を余儀なくされるため、その前に2話分を放送して視聴者をしっかりつかんでおきたいところ。さらに、17日と24日は22時から『世界陸上オレゴン』が放送されることから、「スポーツがテーマの同作から継続視聴が期待できる」などの思惑もあるでしょう。
一方、他の作品に関して見逃せないのは、昨年あたりから業界内で「スタート時期は早いほうが望ましい」「特に夏ドラマはそのほうがいい」という声がささやかれていたこと。その最たる理由は、コロナ禍による撮影中断や放送スケジュールのズレなどをできるだけ回避したいからです。
放送だけでなく、撮影そのものを早めにスタートさせ、万が一、何回か放送中断することになってもクール内で放送を終われるようにしているのです。また、「メインキャストとなる人気俳優と、スタジオやロケ地などを確保する」という観点も、早い段階から動きはじめる理由の1つでしょう。
もともと夏は、学生も社会人も夏休みがあるほか、レジャーや大型イベントなどで外出の機会が増えやすく、毎週の継続視聴が求められる連ドラにとっては最も厳しい季節。つまり早期のスタートには、「本格的な夏休みやイベントなどがはじまる前にしっかり視聴者をつかんでおきたい」という意図があるのです。特に今夏はコロナ禍以降、3年ぶりに旅行やイベントなどの盛り上がりが予想されているだけに、各局の対策が求められているのは間違いありません。