波瑠が主演した『ナイト・ドクター』が好例に
昨夏の『ナイト・ドクター』が好例に
連ドラのスタート時期が早くなっている背景には、「ジャンルやテーマ、出演俳優のかぶりをフォローする」という、もう1つの理由があります。「『またこのジャンル?』などと思われないために、他局より先に出しておきたい」というのがテレビマンの本音。
しかし、今夏のラインナップを見ると、「スポーツマネジメント」「戦国武将のクローン高校生」「公正取引委員会」「家のリノベーション」「陸上自衛隊」「家庭教師」「韓国ドラマのリメイク」「教師と生徒の禁断愛」「町のトラブルを解決」「捜査権を持たない警察職員」など、作品ジャンルやテーマがバラけていて、ほぼかぶりはありません。
古くから夏ドラマは冒険や実験の要素を含む作品が多かったものの、これほど作品ジャンルがバラけるのは記憶がないほどだけに、今夏に関しては「かぶり」がどうこうではなく、「早めに出してインパクトを与えておきたい」という狙いではないでしょうか。
また、春ドラマから夏ドラマの移行期は、冬ドラマから春ドラマ、夏ドラマから秋ドラマの改編期より大型特番や新番組などが少ないことも含めて、「早く放送しようと思えば調整できる」という点も、早期スタートにつながった理由の1つです。
昨夏に放送された『ナイト・ドクター』の早期スタートが視聴者に受け入れられたこともあって、今年の結果が悪くなければ、来年以降も夏ドラマは今年と同等以上の早さで第1話が放送されていくでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。