西勇輝(時事通信フォト)
ピッチャーは盤石や!
開幕後の低迷で、親会社である阪急阪神HDの株主総会(6月15日)の紛糾が懸念されていたが、直前に盛り返したことで、球団や監督を批判する株主はほとんどいなかった。
「谷本修オーナー代行は『チームとしては17年ぶり優勝というプロジェクト、ペナント奪回を誰ひとりとして諦めていません』と力強く宣言。株主総会対策と言われる新外国人・ロドリゲスの獲得も好感を呼んでいました」(阪急阪神HD関係者)
セは交流戦を制したヤクルトが独走し、巨人がそれに続くが、首位以外はダンゴ状態。さらなる反転攻勢に期待が高まるのは当然だろう。
そもそも、投手陣は12球団屈指の陣容で、チームが低迷する間も前評判通りの活躍を見せていた。
チーム防御率はヤクルトと同水準でリーグ2位の2.77(6月22日終了時点、以下同)。青柳晃洋はリーグトップの8勝、防御率1.17と抜群の安定感で、西勇輝もリーグ2位の1.99と1点台をキープする。
守護神として1985年の阪神の日本一を経験し、引退後も一軍投手コーチなどを務めた中西清起氏は、タイガースの“復活”をこう評す。
「いきなり強くなったんやなくて、最初が悪すぎただけ。ヤクルトと優勝を争った昨年の終盤ぐらいの状況に戻ってきたんちゃうかな。もともと先発陣は6枚きっちり揃っている。開幕当初は苦労したリリーフ陣もセットアッパーに4年目の湯浅(京己)、ストッパーには岩崎優がはまってきた。6、7回はアルカンタラ、岩貞(祐太)がいる。
打線も春先はノーヒットで点を取りにいくということがやれていなかった。昨年の好調時は1点が取れない時にベンチが動いて点を狙う野球ができていたが、今年の春は矢野監督が迷っていたのか動けずにいた。それがここにきて、総力戦をやるようになったね」
戦力が不足していたわけではないのだ。かつて阪神のエースとして活躍した江本孟紀氏も「もともと力があるチームですからね」としてこう話す。
「日本ハムみたいに、専門家がみんな最下位だと予想していたチームとは違いますよ。多くの評論家が阪神はAクラスと予想しましたから。出だしで躓いたのは、キャンプ前の矢野退任発言が影響したと思いますよ。ショックからしばらく立ち直れず、選手に焦りが募っていったんでしょう。投手陣はもとから安定していたし、大山(悠輔)が打ち始めた。それが復活の理由でしょう。逆に言えば、監督の力は関係ないと思いますが(笑)」