芸能

『トップガン マーヴェリック』国内興行収入60億円突破 なぜ心に響くのか?

『トップガン マーヴェリック』大ヒットの理由は?

『トップガン マーヴェリック』大ヒットの理由は?

 前作から36年──待望の続編が公開直後から勢いが止まらない。『トップガン マーヴェリック』(監督:ジョセフ・コシンスキー 配給:東和ピクチャーズ)は5月の上映開始以来、すでに世界興行収入は9億ドル超(1224億円)だ。本来は2019年夏に公開予定だったのが、製作の遅れやコロナ禍の映画館休業で何度も延期。コロナ禍収束直後の待ちに待った公開で、久しぶりの外出を楽しみたい観客を映画館へ向かわせる原動力となった。

 荒々しい海軍パイロットの孤独と友情、飛び交う戦闘機アクション、つかのまの恋愛。アメリカ映画らしさにあふれる前作『トップガン』は、1986年に日本で公開された。

 前作のあらすじはこうだ。ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル(トム・クルーズ)は大胆な操縦をこなす天才肌パイロット。相棒のグース(アンソニー・エドワーズ)とともにミラマー海軍航空基地内の養成学校「トップガン」へ入校し、実技も無事クリアすると思われたが──。主題歌『デンジャー・ゾーン』、アカデミー賞最優秀歌曲賞受賞『愛は吐息のように』など楽曲も一大旋風を巻き起こした。

 時代はバブル景気、洋画の上映数が年間500本を超えるなか、『トップガン』は1987年度の洋画配給収入第1位を飾った。

 ヒット映画には、すぐさま続編製作の企画が持ち上がる。だが続編上映まで30年以上経たのは、主演俳優であり続編製作権を買い取ったトム・クルーズの意向だった。脚本や俳優など彼の納得する諸条件が揃ったのが、ちょうど今だった。

 続編製作に積極的だった監督のトニー・スコットは、2012年に死去。監督はジョセフ・コシンスキーに代わったが、スタッフ全員が「もしスコット監督がこの映画を観たら、きっと気に入ってくれる」と意見が一致するクオリティに仕上げてみせたという。

 新作でテストパイロットとして活躍するマーヴェリック(トム・クルーズ)は、かつての戦友、今は太平洋艦隊司令官のアイスマン(ヴァル・キルマー)に乞われパイロット養成学校「トップガン」の教官職へ。型破りな指導に、若きパイロットたちは反発する──。日本で公開すると間もなく「全中高年が泣いた」と話題になり、国内興行収入60億円突破の大ヒットを続けている。

 映画批評家の前田有一氏は、ヒットの理由をこう語る。

「トム・クルーズがスタントマンやCGの使用を極力避けたため、映像がリアルで面白い。また、天才パイロットでありながら出世コースを選ばず歳を重ね、不安定な現場で働き続ける主人公が観客の共感を呼び、心に響く映画なのです」

(C)2022 PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

『トップガン マーヴェリック』公開中 監督:ジョセフ・コシンスキー 配給:東和ピクチャーズ

※週刊ポスト2022年7月8・15日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン