公務の傍ら、人身売買の被害者を救済するNPOラブ・スペクトラムを運営
──ロスで危険な任務をこなすYURIさんから、日本の社会はどう見えますか。
YURI:最初にもお話した通り、日本人の危機意識の低さはどうしても目につきます。でもそれは逆に言えば、日本人がとても安全な国に住んでいるということです。日本人が当たり前と思っている安全な雰囲気はお金では買えず、最高に幸せなことです。住んでいると慣れるのだろうけど、ここまで安全な国は世界でもないはずです。そう考えると日本は本当に素晴らしい国だと思います。
ただしいつどこにでも危険は潜んでいます。だからこそ平和ボケから目を覚まして、もう少し日常生活から危機意識を持つべきだと思います。
──改めて、自分の身を守るにはどうすべきでしょうか。
YURI:命を守るには、まず常に周囲をよく見て、危機に備えたイメージトレーニングをする習慣をつけること。それに護身用の武器を携帯しておくことが必須です。爪ヤスリや毛抜きの先、ピンセットなど、様々なものが合法的な武器になります。非力な方は「私の武器はコレ」と決めておくのがいい。
あとはひとりひとりがシャイにならないこと。外出先でいったん席を離れる際は「ちょっとこの荷物を見ていてもらえますか」などと、周りの人とコミュニケーションすることも大切です。自分の身を守るだけでなく、誰かの危険を察知した場合も、「カバンの口が開いてますよ」などとお互いに声をかけて、協力し合うことが防犯につながるはずです。
「声をかけなかった時のリスク」を考えて
──日本人は「注意したら、相手の迷惑かも」と思ってしまいがちです。
YURI:迷惑よりも、自分が声をかけなかった時に起こり得るリスクを考えることです。警察の仕事も同じですが、「もしかしたら何もないかもしれないけど、何か起こった場合にどうなるか」と最悪の事態を想定します。
ちょうどこの間、日本の駅で背中のカバンにスカートが引っかかって、下着が見えていた女子高生がいたんです。ここは日本だし、注意すると変なおばちゃん扱いされるかと一瞬躊躇したけど、それでも「ちょっと! スカートめくれているよ!」と声をかけました。
周りに人がいたから声をかけるのに恥ずかしさもあったけど、もしも私が注意しなかったら変質者が女子高生の後をつけて、人目のつかないところに押し込まれるかもしれない。そんなリスクを考えたら、私が周囲に白い目で見られることなんてなんでもありません。ひとりひとりが持つ正義感を大切にしてほしい。