芸能

漫画家・業田良家氏、代表作『自虐の詩』のタイトルに影響与えた吉田拓郎ソング

漫画家・業田良家氏が振り返る(写真は吉田拓郎)

漫画家・業田良家氏が振り返る(写真は2006年の吉田拓郎)

 1970年代に青春を過ごしたかつての若者たちのなかには、シンガー・ソングライターの吉田拓郎(76)から大きな影響を受けた人も多い。“引退宣言”を受けて、大人になった彼らが当時を振り返る──。

『自虐の詩』『空気人形』などで知られる漫画家・業田良家氏(63)にとっての1曲は、ライブアルバム『たくろうオン・ステージ第二集』(1972年)に収録されている『準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響』だ。

「シングルカットはされていなくて、ファン以外にはあまり馴染みのない曲だと思います。中学当時は学校に行けば拓郎さんの話題ばかりで、急にギターを弾き始めるヤツが多かったのですが、この曲は周りの連中にもあまり知られていなかった。

 ボブ・ディランの『ハッティ・キャロルの寂しい死』のメロディにのせて、高校時代に片思いしていた女性について歌うラブソングです。でも準ちゃんには恋人がいて、恋は成就しない。それでも拓郎さんは赤裸々な自分の恋をストーリー仕立てにして、フォークシンガーになった自身の半生をギター1本で歌うんです。“これは自分たちを代弁してくれている歌だ”と共感し、強い衝撃を受けました。

 ウチは4人兄弟でみんな音楽好き。でもギターは1本しかないから、取り合いになってもう大変。一度手放すとしばらく弾けないから、しがみついて弾いてましたよ(苦笑)。途中からギターが1本増えて少し余裕ができると、ギターでオリジナルの歌を作り始めました。

『準ちゃん』に触発されて、自分も当時片思いしていた女性のことを思い浮かべながら、自分なりの『準ちゃん』を作りました。自分で言うのもなんですが、なかなかの出来栄えだったと思います(笑)。結局、その子に聞かせることはありませんでしたから、まさか自分のことを歌った片思いの曲があるなんて想像すらしていないでしょうね。

 後に漫画家になりますが、拓郎さんを通じて表現する喜びを知ったことが、その原点になったのは間違いありません。代表作と言われる『自虐の詩』のタイトルも拓郎さんの『イメージの詩』からインスピレーションを受けてつけました」

※週刊ポスト2022年7月22日号

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見なえい恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン