長崎出身

長崎出身、原爆から生き延びた経験も持つ美輪明宏

「仕事はお断りしています」

 美輪は1935年、長崎県に生まれた。母方の実家に男児がいなかったため養子に出され、戦前の色街「丸山遊郭」で幼少期を過ごした。

 長崎に原爆が投下されたのは10才のとき。目の前がマグネシウムが燃えるように激しく光り、轟音とともに大地が揺らぐ中を必死で生き延びた。終戦後、15才で上京。国立音楽大学附属高校を中退し、喫茶「銀巴里」でシャンソンを歌うようになったことが芸能界入りのきっかけとなった。

「中性的な美貌と美声が評判を呼び、常連客の三島由紀夫や江戸川乱歩、寺山修司などそうそうたる作家と面識を持ちました。歌手としては1957年のデビュー曲『メケ・メケ』や1964年の『ヨイトマケの唄』が大ヒット。タブーや偏見をおそれず、同性愛者であることもカミングアウトしています」(前出・芸能関係者)

 自らを「天草四郎の生まれ変わり」と称し、2005年から放送された『オーラの泉』(テレビ朝日系)では江原啓之氏とともにゲストの前世を導いて注目を集めた。2012年には史上最年長の77才で紅白初出場を果たしている。歌手、俳優、演出家として絶大な人気を博した美輪は華々しい交友関係を誇ったが、一方で私生活は孤独との闘いでもあった。

「幼い頃に母親を亡くし、戦争では多くの親族や友人を失いました。デビュー後に交際が報じられた日活のスター・赤木圭一郎さんが不慮の事故で亡くなり、三島さんが自死したときも大きなショックを受けたといいます。若い才能を見いだすことに力を入れていた美輪さんは、不器用でも魂のきれいな人が好きなんです。身寄りのない歌手や俳優を自宅に招き入れ、家族同然につきあっていた時期もありました」(前出・美輪の知人)

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