銀巴里で美輪のステージの前座に立った歌手A氏もそのひとり。美輪は実の弟のようにかわいがったが、そのA氏も1990年に鬼籍に入った。
「ほかにも45才下の俳優を溺愛し、親密すぎる関係が噂になったこともあります。身長180cmの二枚目で、美輪さんは『裕ちゃん(石原裕次郎)より脚が5cm長いの』と大絶賛。自分の舞台やテレビにキャスティングして、あらゆる手を使って彼を世に出そうとしていました」(テレビ局関係者)
もっとも、その俳優も美輪のもとを去り、近年芸能活動はほとんど行っていない。いま、美輪の身の回りにいるのは女性のお手伝いさんと、個人事務所の社長B氏のみである。
「Bさんは文学座の研究生だった元俳優。美輪さんの仕事のすべてを取り仕切り、私生活もつきっきりでサポートしています」(前出・美輪の知人)
当時17才だったB氏を美輪が見初めたのは50年以上も前のこと。
「目鼻立ちがくっきりした主役クラスの俳優でした。普段は寡黙なのですが、舞台に立つと色気と華がある。彼の公演を毎回のように見に来ていた美輪さんは、いつしか彼を自分の付き人にして、自宅に住まわせるようになったんです」(舞台関係者)
B氏が役者を引退すると美輪は彼を養子として迎え入れた。その理由について、美輪は2013年の『週刊文春』に「ただ報いてあげたいと思うじゃないですか! 感謝です」と語り、自身の希望だったと認めている。冒頭のシーンで、通院に付き添う男性がそのB氏であり、美輪が全幅の信頼を置く“息子”である。
「美輪さんにとってはBさんが唯一の“家族”。体力的にも長崎に還ることは難しいといい、以前は毎年のようにお参りしていた菩提寺の墓もコロナ前に改葬を済ませたといいます」(前出・美輪の知人)