国内

安倍晋三氏銃撃 昭恵夫人に一報が入り病室のベッドで「別れの8分間」迎えるまで

位牌を手に斎場に向かう昭恵さん

位牌を手に斎場に向かう昭恵さん

 まるで梅雨に戻ったような曇天模様だった。7月12日の午後、いまにも涙雨が降り出しそうな空の下、東京・増上寺で安倍晋三元首相(享年67)の告別式が営まれた。棺への花入れを終えると、安倍昭恵さん(60才)は、変わり果てた夫の肩を優しく抱き、自分の顔をそっと近づけると、頬ずりをした。もうあふれ出る涙を止めることはできなかった。

「ありがとう。ありがとう」

 その時間は決して短いものではなかったという。周囲はふたりの姿を静かにじっと見つめていた──。

「前日のお通夜での昭恵さんは、関係者への挨拶などで休みなく動いていました。涙は一切見せず、こちらが心配になるほどに気丈でしたね。でも、その姿は明らかに憔悴しきっていて、いつもの彼女とはまったく違っていました」(参列者のひとり)

 だが、翌日の告別式では喪主の昭恵さんが挨拶に立つと、言葉を紡ぐごとに涙が止まらなくなった。

「あまりにも突然のことで、まだ夢の中にいるようです。あの日は、朝8時にご飯を一緒に食べてお見送りをした。そうしたら11時半過ぎに撃たれたと連絡がありました。主人は家では優しい人で、人を喜ばせるのが本当に好きな人、人のためにするのが好きな人なので、こんなにたくさんの人が葬儀に参列してくれたことを喜んでいることでしょう。安倍晋三を支えてくれて、本当にありがとうございました」

 見合いの声がかかったのは安倍氏が30才、昭恵さんが22才だった。森永製菓の社長令嬢である昭恵さんは聖心女子専門学校を卒業すると電通に就職した。上司から「いい人がいる」と紹介され、会ったのは1984年、安倍氏は外務大臣を務める父・晋太郎氏の秘書官だった。“お見合い”に乗り気ではなく、待ち合わせに30分ほど遅刻した昭恵さんを、安倍氏は笑顔で迎え入れた。その後、ふたりは食事やゴルフデートを重ねるようになった。

 ふたりは慎重だった。結婚したのは約3年間の交際を経た後の1987年。結婚にいたった理由を、昭恵さんは過去に『女性セブン』にこう語っていた。

《裏表がない人なんです。とても誠実で、私の友人の評判も絶大でした。だから結婚も周囲の人たちが“どうするんだ”と背中を押すように応援してくれたほどでした》

 1993年に父の地盤を継いで衆院議員に初当選した安倍氏は小泉内閣で内閣官房副長官、自民党幹事長、内閣官房長官を歴任し、2006年には史上最年少の52才で内閣総理大臣に就任した。このとき、昭恵さんは44才のファーストレディーとして脚光を浴びた。

「総理の初外交に昭恵夫人が同行した際、政府専用機のタラップを夫妻が手をつないで隣に並んで降り立ったシーンはとりわけ印象的でした。『妻は夫の三歩後ろを歩く』が当然とされてきた日本の政界に新しい風が吹いたことを誰もが感じました」(政治部記者)

関連記事

トピックス

バラエティー番組『孝太郎&ちさ子 プラチナファミリー 華麗なる一家をのぞき見』
コシノ三姉妹や石原4兄弟にも密着…テレ朝『プラチナファミリー』人気背景を山田美保子さんが分析「マダム世代の大好物をワンプレートにしたかのよう」
女性セブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン