芸能

高田文夫氏“若い頃から一緒に年をとってきた同世代”の心強さについて語る

同世代にはどんな思いが?

同世代にはどんな思いが?

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏(74)が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、若い頃から一緒に年をとってきた同世代について綴る。

 * * *
 7月7日は永六輔の命日だった。私はその教え通り上を向いて歩いている。「知らない横丁を曲がってみる。それがもう旅なんです」。書く方の師が永なら、喋る方の師、立川談志。若き日より「伝統を現代に」なんて言っていた。どんなジャンルでも昔を今につないでいくのが芸能文化なのだ。古い物は分からないからカットではいけないのだ。

 談志とメチャクチャ仲の良かった“和田弘とマヒナスターズ”の二枚目ボーカル松平直樹(88歳)が亡くなった。一緒に何度も呑んだこともあったが、若き日のその助平そうな歌いっぷりはたまらなかった。姉たちがテレビでマヒナを見ていると母親が「ダメだよ、そんなの見ちゃ。妊娠するよ」と言った。マダムキラーだった。デュエットも多く松尾和子と『誰よりも君を愛す』、田代美代子と『愛して愛して愛しちゃったのよ』、吉永小百合と『寒い朝』。すべて賞を獲った。

 メンバーの入れ換えなどもあったがムード歌謡グループ“マヒナスターズ”の最後のメンバーが今ひっそりと注目を浴びている漫談家でもあるタブレット純。伝統は現代にこぢんまりと生きている。

『ビートたけしのオールナイトニッポン』にもマヒナは深夜よく来てくれて魅惑の歌声など聞かせてくれた。それ故あのバイク事故からの復活第一声。誰も意味が分からなかったが私は腹抱えて笑った。「あっどーも。顔面マヒナスターズです」。入院中このひと言を考えていたと思うとおかしくて。やはり同世代というのはいいもので心強いものだ。

 11年ぶりのアルバム発売『SOFTLY』。超話題の山下達郎、様々なインタビューに答えて「人間の生きることの肯定。それがポップカルチャー。私は同世代のためだけに作り、歌っています。若い頃から一緒に年をとっていってますから」。さすが達っつぁん。ニンポン放送のスタッフに「大滝詠一さんと高田さんがまたよく気があって仲良かったんだよ。やっぱり同世代だからかなぁ」。そう、同じ野球と相撲とお笑いを見てきたからツーと言えばスリーなのだ。

 私のこのコラムもラジオも同世代のためにある(そこへ73歳『ボヘミアン』葛城ユキの訃報)。桑田佳祐が同期を集めて曲を出した意味も分かる。佐野元春、Char、世良公則、野口五郎、意表をつく同い年だった。私も対抗して曲を出そうと考えたらとんでもなく歌のうまい人ばかりだった。沢田研二、前川清、五木ひろし、森進一、都はるみ。凄すぎる同期。おまけに……バックコーラスが私とヨネスケと、泉ピン子でどうだ!?

イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2022年7月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン