警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、安倍晋三元首相への銃撃事件から考える要人警護について。
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安倍晋三元首相が参院選の応援演説中、凶弾に倒れた。場所は、奈良市近鉄大和西大寺駅前の交差点内で、ガードレールで囲まれた一角。報道によると、選挙の演説で度々使われていた場所だという。事件を受け、警備警護体制の問題点が様々指摘されているが、容疑者がなぜ容易に安倍氏に近づき、発砲できたのか、複数の警察関係者に意見を聞いた。
当時の様子を撮影した映像などによると、逮捕された山上徹也容疑者は、安倍氏の背後、斜め後方の歩道から車道を渡りゆっくりと安倍氏に近づいた。容疑者の他に車道を渡る人はいない。明らかに不審な動きをしているように見えるが、警護要員らに目立った動きはみられない。警備警護を行っていたのは安倍氏に同行していた警視庁SP(セキュリティ・ポリス)1人の他、奈良県警の私服警察官も含めた十数人だったと言われている。警備計画や要員の配置は奈良県警が担っていた。
続けて映像をみると、SPらしき1人の警察官がもう1人に近づき、何かを耳打ちしている。そして容疑者は、ゆっくり歩きながら、肩から下げていた黒いカバンに手を入れ、中から黒いテープで巻かれた手製の大きな銃を取り出すと、安倍氏にそれを向けた。そして発砲した。
「ドーン」という爆発音とともに真っ白い煙が上がる。その距離わずか数メートル。演説を聞くために集まっていた人たちは、何が起こったのかわからなかっただろう。容疑者はそのまま3歩4歩と安倍氏に向かって進んでいった。安倍氏の周りにいた人たちが音の方を振り向く。その間、約3秒ほど。その3秒間に身を挺して安部氏をかばい、押し倒して地面に伏せさせた者はいなかった。
振り向いた安倍氏に向かって、容疑者がもう一度発砲する。その瞬間、2~3人のSPとみられる者たちがガードレールを飛び越え、容疑者の元へ走った。容疑者を取り押さえ、地面にねじ伏せる。続いて4人ほどがガードレールを飛び越え制圧された容疑者へと走っていった。