横綱・照ノ富士は4敗だった(時事通信フォト)
この状況だと、コロナ休場による番付据え置きの判断がなされて大栄翔が関脇に留まれば、三役に動きがなくなることになる。西前頭2枚目で優勝した逸ノ城(12勝3敗)はもちろん、東前頭筆頭で勝ち越した霧馬山(8勝7敗)が渋滞して三役に上がることができない可能性がある。協会関係者はこう話す。
「優勝力士インタビューでは、聞き手から『来場所は三役復帰が濃厚です』と声を掛けられ、『ほんとまたゼロから、しっかりやるだけなんで』と答えていた逸ノ城ですが、果たしてどうなるか。千秋楽のNHK中継でも、三役に負け越した力士がいないなかで逸ノ城や霧馬山の扱いがどうなるかという点に話が及び、解説の北の富士さんが『(取組編成会議は)1日じゃ終わらないんじゃないの?』と口にする場面もあった。
とにかく、今年になってから三役に大きな動きがなくなった。若隆景、阿炎、豊昇龍、大栄翔、隆の勝が1点の勝ち越しや負け越しで入れ替わる程度。5月場所は東前頭2枚目で10勝5敗の霧馬山が三役昇進を果たせず、東前頭筆頭になっただけ。西前頭2枚目で9勝6敗の琴ノ若も、西から東に半枚上がっただけだった。空きがないから三役に昇進できなかったのです。横綱、大関が弱いから、三役が大きく負け越すことがない。そのあたりに原因がある珍現象です」
今年の3月場所でも東前頭4枚目で10勝5敗だった霧馬山は、3場所連続で三役昇進が“おあずけ”となりそうな状況だ。西前頭2枚目で優勝した逸ノ城について、千秋楽翌日のスポーツ紙では関脇や小結を3人ないし4人に増員して三役に押し込むという予想が掲載されている。番付編成会議は7月27日に行なわれる(番付発表は8月29日)。ベテランジャーナリストはこう話す。
「活躍した関取が三役に昇進しないと番付が活性化しない。大関昇進は『三役で3場所合計33勝』が目安とされ、逸ノ城が平幕で連覇しようと大関候補にならない。8勝、9勝で三役を守る力士が多いと番付が渋滞して平幕上位に強い力士が集中。金星や銀星が多く出て波乱場所になってしまう。ここ数場所の土俵がまさにそれです」
力士にとっては、平幕と三役では収入も大違いとなる。給与は関脇、小結の三役が月額180万円、平幕が同140万円と40万円も違う。力士の給料は本場所がない偶数月も支払われるため、1回昇進を逃すと80万円も収入に差が出る。たとえば霧馬山が3月場所後に昇進を決めて三役をキープしていた場合と、来場所も平幕のままのケースでは240万円もの違いになってしまう。
さらに小結の三役以上になると本場所特別手当がもらえるし、三役以上の取組になれば懸賞金(1本7万円)も多くかかるようになる。前頭筆頭と小結とでは番付1枚ながら雲泥の差があるのだ。9月場所の番付がどうなるか、今から見ものである。
