4回目の接種を受ける小池都知事(共同通信社)

4回目の接種を受ける小池都知事(共同通信社)

 日本は2回目の接種率が8割を超え、3回目もアメリカを上回る6割超だ。それでもアメリカより新規感染者が多い日もある。

 そもそも当初は「ワクチンには95%の感染予防効果がある」とされたが、接種した多くの人が感染すると、次は「人口の7割が2回接種すれば集団免疫ができてコロナは克服できる」とされた。それでも感染流行は収束しなかった。

 前述したように新たに登場したBA.5には感染予防効果が期待できないのに、政府は「重症化予防に意味がある」としてワクチンの4回目を推奨し、さらに5回目も実施されそうだ。

 確かに追加接種を繰り返す国はある。カンボジアでは6月に医療従事者や60才以上の国民の5回目接種が始まった。今年4月に新規感染者が2万人を超えたタイでは6回目接種が進む。だがそうした追加接種には、事情がある。

「東南アジアの国はまだ医療インフラが整っておらず、コロナを発病して重症化したら充分な医療を受けることができません。このためワクチンをどんどん打たざるを得ないのです」(久住さん)

 日本は医療インフラが整っていないとはいえないのに、重症者を出さないという目的のもと積極的な追加接種が叫ばれているのだ。

 そもそも、オミクロン株は感染力こそ強いものの重症化率は低い。

 東京都が発表した陽性者と重症患者の数を、別掲グラフにまとめた。

 第5波のピーク時は1日の陽性者が最大5908人で重症患者は297人。第6波は陽性者2万1576人に対して重症患者は最大87人だった。

 第7波が到来したといわれる現在は、陽性者が3万人を超えたにもかかわらず、重症患者はもっとも多い日でも7月19日の19人と少ない(7月25日現在)。重症患者は陽性者より遅れて増える傾向があるが、いまのところ顕著な増加はみられない。

 追加接種が新たな問題を引き起こす可能性も指摘されている。ワクチンを打った方が、コロナにかかりやすいという衝撃的なデータがあるのだ。

 厚労省が発表した今年4月11日以降のデータを見ると、ワクチン未接種と2回接種の10万人あたりの新規陽性者数にほとんど差がない。それどころか「40~49才」「60~64才」「65~69才」「70~79才」では、未接種者よりも2回接種した人の方がコロナに感染していることがわかった。

 日本だけではない。英健康安全保障庁が、今年3月6日から3月27日に発生した10万人あたりの新規陽性者を分析したデータでも、未接種者が多い18才未満を除く全年代で、3回接種の方が未接種よりも3~4倍ほど新規陽性者が多かった。特に60~69才は3回接種した新規陽性者2814人に対し、未接種は572人だった。小島さんが指摘する。

「ファイザーやモデルナのmRNAワクチンは、もともと体に備わった免疫力を低下させる可能性があります。免疫力が落ちれば、コロナに感染する可能性が高くなるため、複数回ワクチンを接種した人の方が、未接種者よりもコロナにかかりやすくなるのかもしれません。

 いまのところ日本では3回接種の方が未接種よりコロナに感染しやすいとの逆転現象はみられていません。しかし3回接種の感染予防効果がほぼみられなくなるなか、今後は“3回接種した方がコロナにかかりやすかった”とのデータが出る可能性もあります」

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