大橋巨泉さんが司会を務めた『HOWマッチ』では苦労もあったチャックさん(本人提供写真)
怒声にパーティ会場が凍り付く
チャックさんを語る上で欠かせないのが、『HOWマッチ』の司会だった大橋巨泉さんだ。芸能界でも超大物の実力者だった巨泉さんは、クイズの回答で安値をつけるチャックさんを「ケチャック」(ケチなチャック)と呼んでからかっていた。2人の漫才のようなかけ合いは視聴者の笑いを誘ったが、チャックさんは巨泉さんとの関係性に大きなストレスを感じていたという。
「僕は子供の頃に体が弱かったという劣等感があり、それを乗り越えて大人になったから、弱い者いじめをしたり、恵まれていない人を馬鹿にすることが許せないんです。当時の巨泉さんはひとりで芸能界を治める“王様”のようで、尊大に振る舞うことがあった。特に僕には横柄な態度をとることが結構あって、『ケチャック』と呼ばれることがだんだん不愉快になっていきました」
軽妙に見えたやりとりだったが、チャックさんにはイライラの元になっていた。目に見えない緊張感が高まっていたある日、ついに事件が起きた。
「『HOWマッチ』のパーティで、『番組のおかげで名前が売れて本職でも助かっています。ありがとうございました』と巨泉さんに挨拶したんです。すると彼が、『石坂(浩二)さん、いまチャックというバカがワケのわからないことを言ったから、ちょっと通訳してくださいよ』と発言した。腹が立って腹が立って仕方ないからすぐにその場を離れて家に帰ろうとしたら、巨泉さんが『おいチャック、僕の話終わってないから』と僕を制したんです。本当に頭にきたから、『俺にとっては終わってるんだよ!』と怒鳴ってそのまま帰った。その時、会場がシーンと静まり返りました」