手紙まで書き和解に努めたウィルソンさんが「今ではよい思い出」と笑う

手紙まで書き大橋巨泉さんとの和解に努めたウィルソンさん。「今となってはよい思い出」と語る(撮影/黒石あみ)

 この衝突以降、2人の確執が関係者の間に広まり、『HOWマッチ』の収録現場は重苦しい空気に包まれるようになった。このままではいけない、そう感じたチャックさんは巨泉に手紙を書いた。

〈巨泉さん、あなたは芸能界の大物だとわかっています。でも私にも立場やプライドがある。番組を降りろと言われるかもしれませんが、私はやめないつもりです。だからこういう口喧嘩や子供っぽいことを捨てて、お互いに尊敬しあって番組をやりましょう〉

 悲壮な決意とともに書かれた「チャックからの手紙」は、芸能界の重鎮である巨泉さんの心に響き、ふたりは和解したという。

「手紙を送ってからはとても仲が良くなって、巨泉さんから毛布をプレゼントされたこともあります。巨泉さんは超一流の司会者だし、芸能界での地位を築いた人ですから敬意を払うのは当然。ただ僕は正直な人間だから、許せないことは許せなかった。当時は巨泉さんにモノ申す人はいなかったから周りは驚いたと思うけど、今となってはよい思い出です」

 2016年7月に巨泉さんが逝去した際、チャックさんは感謝の気持ちを述べるとともに、「昔話ですが、巨泉さんと大きな喧嘩をしたこともありました」とコメントした。そこで明らかにされた“大きな喧嘩”こそ、このパーティの一件だったのだ。

 1980年代を代表する超人気番組の裏側に、日米の有名タレントが繰り広げたガチンコバトルがあったことが、今後は語り継がれていくかもしれない。(取材・構成=池田道大)

第2回に続く

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