レジオネラ菌感染症には、劇症型の肺炎と、一過性で軽症のポンティアック熱があります。問題なのはレジオネラ肺炎で、コロナ前の平時では市中肺炎の5%を占めていました。潜伏期は2~10日で、発熱・頭痛・筋肉痛が現われてから咳・胸痛・頭痛・けいれん・腹痛・下痢などが現われます。重症化することも稀ではなく、症状が強い場合には呼吸器内科や感染症内科を速やかに受診することが必要です。
レジオネラ菌は細胞内に寄生するので、薬は細胞内に浸透するニューキノロン系やマクロライド系等の抗菌薬を使用しなければなりません。よく使われるペニシリン系やセフェム系抗菌薬は、レジオネラ菌には効きません。有効な薬が投与されない場合は7日以内に死亡することが多いとされます。適切な治療がない場合の致死率は60%から70%とされますが、適切な抗菌薬治療が速やかになされれば10%未満に下がります。
被災時、白鴎大学の学生さんらは地域の清掃・ゴミ出し作業をよく手伝って本当に感謝されていました。私は学生さんに頭が下がる思いでした。それが救いでした。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2022年9月9日号