睦月という名前で働いた

睦月という名前で働いた

 事実、琉月さん自身も、一時期はそういった「行き場のない若者」のひとりだった。

「中学を卒業してから、建築関係の職についたのですが、人間関係がうまくいかなくて辞めてしまったんです。その後はアルバイト情報誌で仕事を見つけては辞める日々。一時はホームレス状態になっていました。そんな自分を“拾って”くれたのが、現在勤務する店の当時の幹部でした。その人は住むところも、食べるものも用意してくれたんです」(琉月さん)

 歌舞伎町を拠点として活動する人気YouTuberである『ホス狂いあおい』さんも、地元の福井県を飛び出し、「歌舞伎町に居場所をみつけた女性」のひとりだ。祖父と父からの虐待を受け、学校ではいじめにあったと語るあおいさんが10代で家出し、たどり着いたのが歌舞伎町だった。

「歌舞伎町でホストに散財する“ホス狂い”のひとりだった私を見出してくれたのがこの街で出会った事務所のオーナーです。『あおいは、しゃべりがうまいわけではないけど、ホストと絡むのが天才的にうまいからなぁ』と、YouTubeの仕事を紹介してくれて、今の私がいます。

 歌舞伎町は過去の私のような『行き場所のない子』の受け皿にもなってる。ホス狂いやホストたちもそうですし、“トー横”に集まるコたちも同じです。あのコたちは事件を起こしている、問題だといわれているけれど、実際に話してみると自分たちで主体的に事件を起こしているワケではない。巻き込まれているんです。この街に居場所を求めるコに共通するのは、まわりに守ってくれる大人がいなかったことだと思う」(あおいさん)

 事件直後の琉月さんも、店に戻った理由をこう語っていた。

「事件があった後も、お店の先輩たちが、お酒の飲めない僕のかわりに『お酒は飲んでやる』といってくれて。身寄りのない自分にはこの店しか居場所がなく、だから戻ってきたんです」

 2022年8月現在、睦月さんはホストを辞め、田舎に帰ったというが、兄弟は相変わらず仲良く連絡を取りあっているそうだ。

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