「声優は、アフレコ作業中に音響監督からの指示を受けます。この『指示を出す、指示を受ける』というシステムが、暗黙の上下関係を生んでいると僕は感じます。でも、現場にポジョンの上下関係は必要無いと思います。
音響監督は『作品の音を作る専門家』、監督は『作品の世界を作る専門家』、声優は『自分の役の専門家』だと思っています。それぞれが納得のいく仕事をすべきだし、お互いの『プロフェッショナルな部分』を尊重し合えたほうがいい。そのためにはコミュニケーションが必要不可欠だし、上下関係を用いて相手を『従わせる』ということはあってはいけないと思います。
自分の場合で言うと、納得できないことはしないようにしています。自分が納得してから表現することが、僕にとってはとても重要です。自分とは違う意見や、反対意見を用いて話しあうことを、日本人は避けがちだし、それを『失礼なこと』として刷り込まれているように感じます。なので、自分の考えを伝えたときに険悪な空気になったこともあります。
その影響で人が離れていきましたが、自分の考えや想いを相手に伝えるという経験を積み重ねていかないと、結果的に『納得できないことに従う』ことになるし、僕の場合は後悔が残ると思うし、それをまたくり返すことになります。何よりその状態では、『細谷佳正はどんな人間なのか?』ということを、わかってもらえないと思いました。今はその『自分の意見を伝える動作』も自然になってきたし、その経験値も増えました。それによって、気質や考えが自分と合う人達と、楽しく仕事ができています」
(後編に続く)
◆写真/黒石あみ
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