爆笑問題の太田光と田中裕二(時事通信フォト)

爆笑問題の太田光と田中裕二(時事通信フォト)

ひな壇番組が増えて芸人同士が“敵”から“仲間”へ

 前出の芸能記者が松本人志の界隈に“共演NG”が生まれた経緯を振り返る。

「昔のお笑い界はもっとギスギスしていた。有名な話として、とんねるずとダウンタウンにも不仲説があった。1994年、年末特番の視聴率でとんねるずがダウンタウンに負けた時に石橋貴明が『俺たちがダウンタウンあたりに負けるはずがねえだろ!』と怒ったという噂が広まったからだと言われています。また、松本は『FNSラフ&ミュージック』で一緒にMCをしていたナインティナインについて、1994年に著書『遺書』で『ダウンタウンのチンカス』と書いていた。2011年の『爆笑!大日本アカン警察』で“共演NG”は解けたが、岡村はまだ松本に遠慮している部分があるように見えます」

 1990年代、芸人同士は敵であり、明確に“派閥”があった。他にも東京進出したばかりの今田耕司が、当時、全国ネットで多数のレギュラーを抱えていた中山秀征に、「ダウンタウンファミリーとして負けられない」とばかりに対抗意識を燃やしていたこともよく知られている。

 それが、2000年代半ば以降、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)のように、ひな壇に複数事務所の芸人が集まり、お互いを助け合うチームワーク重視の番組が注目を集めるようになった。

「あれぐらいから芸人同士が全体的にギスギスしなくなり、“ライバル”というより“仲間”になっていったと思います。お笑い界の空気の変化がダウンタウンとナインティナイン、とんねるず、爆笑問題との“共演NG解除”にもつながっていったのでは。尖っていた松本さんが50代になって柔らかくなっていったこともあるでしょう。昭和の頃からタレント同士の“共演NG”はありましたけど、言葉自体は視聴者にまでは広まっていなかった。社会に普及させたのは、言葉の中心にいた松本さんかもしれませんね」

 芸人同士が敵対心を持って切磋琢磨する時代から、お互いに協力し合って良い番組を作る方向に変わっている昨今、芸人同士の“共演NG”は生まれづらくなっているようだ。

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