国内

渡辺恒雄氏が極秘入院4か月 “ドン不在”が政界・読売新聞グループに与える影響

安倍政権下では有識者会議の座長を務めことも(写真は2016年/共同通信社)

安倍政権下では有識者会議の座長を務めたことも(写真左下。共同通信社)

 現在、入院生活を余儀なくされている読売新聞グループ本社主筆、渡辺恒雄氏(96)。ドン不在によって、政界やメディアにどういった影響があるのだろうか──。【前後編の後編。前編から読む

 渡辺氏の不在は、政界に影響をもたらしている。全国紙政治部記者が語る。

「駆け出しの政治記者時代から大物政治家の大野伴睦に食い込み、渡辺さんが大野派の閣僚名簿を仕切っていたほどです。2007年の福田康夫政権時代は盟友・中曽根康弘と自民党と民主党の『大連立構想』を画策し、名実ともに組閣や政策決定に影響を与えるキングメーカーとなった。

 そうした事情もあって、与党政治家は重要な政策決定の前に渡辺さんのもとを訪れる“渡辺氏詣で”をしている。安定的な政権運営のためには渡辺さんとの良好な関係が必要不可欠です。いまは国会閉会中ですが、渡辺さんが今後も不在となると政界は混迷するでしょう」

 とりわけ渡辺氏と安倍晋三元首相は蜜月だった。第二次安倍政権では度々会食を重ね、巨人軍の試合観戦やパーティなどで頻繁に面会した。

 2017年の憲法記念日(5月3日)には、憲法改正のロードマップを示す安倍氏の単独インタビューが読売新聞に掲載された。

 のちに国会で改憲案の説明を求められた安倍氏は、「読売新聞に相当詳しく書いてあるからぜひ熟読していただきたい」と強弁したほどだった。ノンフィクション作家の森功氏が語る。

「政権側は政策推進のためにしばしばメディアを使い、時にキャンペーンを張ってもらう。世論のコントロールを期待して渡辺氏詣でをするわけですが、渡辺氏もまた政治とメディアを一体化することに遠慮がない。権力の監視という新聞本来の役割に逆行する行為なのに、渡辺氏はそんな批判をものともせず、政治家を利用し、取り込むことでメディアのメインストリームに居座った。両者は絶妙のバランスで成り立っている」

 その均衡がいま、崩れかねない状況にある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン