がんリスクの評価
運動を習慣にして、適正な体重を維持することも肝要だ。
「肥満は乳がんをはじめ、いくつかのがんのリスク要因で、生活習慣病のもとにもなる。まずは一日のなかで現状より10分でも多く体を動かし、適正体重を維持することを目標にしましょう」
井上さんも忙しい日々の合間を縫って、運動の習慣を持つことを心がけている。
「体を動かすことはがん以外の病気を防ぐことにもつながるため、私自身、意識して取り入れています。学生時代はテニスに熱中し、研究者になってからはランニングの魅力にはまり、フルマラソンに挑戦していたこともあります。いまも無理のない頻度と強度で何らかの運動習慣を欠かさないようにしています。
更年期以降、女性は特に体質や体重が変化しやすいため、少しずつでも運動を習慣にしていってほしい」
(第3回につづく。第1回から読む)
【プロフィール】
井上真奈美(いのうえ・まなみ)さん/神奈川県横浜市出身。筑波大学医学専門学群卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院で疫学・予防医学を学び修士課程を修了。愛知県がんセンター研究所、東京大学大学院医学系研究科などを経て、2021年9月より国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長に就任。今年5月にはWHO附属機関である国際がん研究機関(IARC)におけるアジア圏および日本人初の科学評議会議長にも選出された。
撮影/田中智久
※女性セブン2022年9月29日・10月6日号