国内

【旧統一教会・追及座談会】紀藤弁護士が指摘「韓鶴子と側近以外の教会関係者は被害者」

対談に参加した紀藤正樹氏弁護士

最終的な目標は、現役信者を含めて統一教会の被害を解決することと話す紀藤正樹弁護士

 安倍晋三・元首相の銃撃事件から3か月弱、政治家との関係から2世信者の被害まで、様々な問題が浮き彫りになっている旧統一教会問題。その解明の最前線に立つ紀藤正樹氏(弁護士)、鈴木エイト氏(ジャーナリスト)、塚田穂高氏(宗教社会学者)の3人が、これまでの闘いの日々や今後について語り合った。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
塚田:安倍氏の銃撃事件以降、私も取材依頼が相次いで生活がガラッと変わりました。

鈴木:本当に激変しましたね。僕はもともと突撃系YouTuberと思われていたのか取材を受ける機会が少なかったけど、7月中旬からはテレビや雑誌の仕事が増えてかなり忙しくなりました。メディアが取り上げないことを地道に取材してきたのが受けたのだと思います。もともとテロが発端になっていることは別途しっかり考えないといけませんが、あの銃撃により長年の問題が顕在化したのは事実です。

塚田:事件の数日後、「宗教と政治家がつきあうのは当然」「統一教会も30年前に騒がれただけ」といった言説がSNSで流布しており、これはマズいと思いました。そこで、2007年から2010年に教団関連の複数企業が特定商取引法違反等で続々と刑事摘発されたことを一覧表付きでツイートした。すると580万人がそれを見て、様々なメディアから取材が来るようになり、驚きました。デマを何とかしたいというモチベーションが強いです。

鈴木:あれは相当バズっていましたよね。

塚田:でもツイートした内容も、2012年に共著で出した本(『宗教と社会のフロンティア』)に書いてあるものなんですよ。これはエイトさんも同じだと思いますが、ずっと事実として集積・発信してきたものを今再掲するだけで多くの反響があった。結局はそういうものが強い。世間に共通認識として持ってもらうためにも、事実の蓄積と提示をし続けることが重要ですね。

鈴木:今は個々の政治家と統一教会との関係が取りざたされますが、教会に便宜を与えたり、体制の保護に関わった政治家はごく一部です。それが誰だったかという「本筋」をきちんと追っていく必要があります。

塚田:統一教会は「宗教と政治」一般の問題として論じると、わかりにくくなる。そうではなく、霊感商法や強要的な高額献金で莫大な被害を生んだ団体と、政治家がズブズブの関係できたことが問題の本質です。「宗教が政治に関わるのは禁止」といった誤解を解くスタンスを心がけています。

紀藤:おっしゃる通りです。法令違反で摘発が相次いだ団体と同時並行的に付き合うことを続けるのは異常です。当時から自民党が十分な「ガバナンスコード(統治指針)」を持っていれば、この問題で安易な開き直りはしなかったはず。自民党のものの見方は甘すぎた。

 かといって、統一教会の関係者と完全に付き合うなとは言いません。統一教会の機関紙である世界日報のニュースの裏づけ取材で、世界日報を取材できないことはありえません。事実には党派性がないから、事実を突き詰めようとする時に統一教会の関係者との交流を一切禁じることはおかしい。それでは被害者の救済もできなくなる恐れがあります。

鈴木:今まさにその問題が起きています。ある国会議員のところに統一教会の現役の2世信者が相談に行ったら、「党として関係を断つ以上、相談に乗れない」と言われた。その2世は地元の地方議員に回されましたが、そこでも相談を断わられたそうです。これでは2世の人権が守れない。

紀藤:今は教会との関係を断つことばかり強調されますが、関係を断たない場合にはどういう場合があるのかまで論点が詰められていない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
会談に臨む自民党の高市早苗総裁(時事通信フォト)
《高市早苗総裁と参政党の接近》自民党が重視すべきは本当に「岩盤保守層」か? 亡くなった“神奈川のドン”の憂い
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン